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ハウス・オブ・グッチのNAOKIのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.9
リドリー・スコット御大84歳!

先日公開された「最後の決闘裁判」
世界的に大コケしたらしい…
え?あんな面白い映画が大コケしちゃうんだ…と思っていると御大のインタビュー…

「私の映画がコケたのはF…(クソ)SNSのせいだ!」と激怒して…とネットニュースになってました(笑)

やれやれもう84歳なんだからどっしり構えて物静かにしてりゃいいのに…だから若い連中に「老害」とか言われちゃう…

だけどこのガキみたいにギラギラした性格がこの短期間のうちにこんなに面白い映画を立て続けに作れるパワーなんだろうな…

「ハウス・オブ・グッチ」

実話を元にしてるし予告編を見る限りある女性がその美貌と才覚をフルに活かして同族経営の「グッチ帝国」をもう乗っとるかの勢いで切り込んで行くお話だと思ってました。
まぁ確かに結果的にはそうなんだけど…最初からではなかったんだな…

ガガ姉さんに完全に惚れてしまったアダム・ドライバー(ここまでの恋愛模様最高です!)が父親に反発して全てを投げ打って家を出た時、それでもガガ姉さんはそれを受け入れて結婚するんだもんな…
だけどその後まで見極めての策略があったのかも…どちらとも取れるストーリーにはグイグイ引き込まれます。

最初はちゃんと愛し合ってた2人…それを考えるとなんて切ないお話なんでしょうか?

おれらパンピーにしてみれば…生まれながらに巨大な資産とか地位を保障されてる…なんて羨ましい!と思いがちなんですが、あながちそうでもないんだな…特にバカ息子を演じたジャレッド・レトーがそれを見事に体現してて白眉です。

アメリカで宝くじの高額当選者のその後を調べると殆どが家庭崩壊と破産をしてしまっているという…話を思い出したりして…

実話なのに「グッチ」というのは完全にマクガフィンでそれはマフィアでも華麗なる一族だろうがなんでも構わない…

そこで繰り広げられる人間ドラマとそれをどこまでもリアルに見せる俳優陣の演技合戦がひたすら見所の面白い映画でした。

リドリー・スコット御大は虚構に命を吹き込んでリアルな実在感を感じさせるのが本当に上手い!

前作の「最後の決闘裁判」でも端役に至る人間たちにまで当時にタイムスリップして撮影して来たのでは?という実在感がありました。

考えてみればアンドロイドとかレプリカント…凶悪なエイリアンでさえ命を吹き込む達人だった監督ですもんね(笑)

35歳のガガ姉さんに25歳パトリツィアを憑依させるなんて簡単なことだったのでしょう。

後で2時間40分だったと知って驚きました。
まったくその長さを感じさせない映画でした。
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