イトウモ

ハウス・オブ・グッチのイトウモのレビュー・感想・評価

ハウス・オブ・グッチ(2021年製作の映画)
3.0
「ショット」より「ルック」の映画。映画館より、巨大な街頭広告がお似合いといった感じでいつものリドスコ演出。

お話はリドスコよりも、スコセッシっぽいかも。
アメリカじゃないけど、アメリカンドリーム盛衰話。
あとは、男の子が好きな女の子を思い通りにできなくて殺しちゃう歪んだ青春映画はよくあるが、その男女逆転版という感じで、
見方を変えるとそれがGUCCIというファミリービジネスが、多国籍企業のコングロマリットに吸収される前期資本主義から後期資本主義への構造転換の寓話になっている。。みたいな解釈がしやすそうなつくりは文学者好みかなあ、知らないけれど。

予告編では、ブロンディの「ハートオブグラス」がメインテーマのように流れるけれど、本編で流れるのは出所したアルド(アルパチーノ)が、息子のパオロ(ジャレッド・レト)に声を掛けるも、公衆電話をかけて父親を探しているのですぐ近くに父の父親がいることに気づかないというシーン。ちょっとくどいけど、一番おもしろいシークエンスだった。その後、駐車場でも車が見つからない。
レト演じるこのパオロというピュアで間抜けで、誰にも信頼されない中年男が悲しすぎる。