くう

モーリタニアン 黒塗りの記録のくうのレビュー・感想・評価

3.9
同族・同組織を悪と見なしたら、とことん疑い、誰かに責任取らせないと収まらないからと無実の人間を監禁・拷問・自白強要…。

9.11後、裁判もなく10年以上も監禁された実在のモハメドゥ・スラヒを描くストーリー。まさに大国黒塗りの歴史 。

一度疑われてハメられたら逃げ場はなく、自由と尊厳を奪われて、作られた台本で偽の自白をさせられ、死に追いやられる。何と恐ろしい。

人権派の弁護士が守りたかったのは「やったか。やらないか。」ではなく、誰でも正しく裁かれる権利を守る事。

やられたことは酷いことだが、国家ぐるみで復讐を遂行することの恐ろしさについて考えさせられる。

老けてなおカッコいいジョディ・フォスターと、正義の在り方について悩むカンバーバッチさんの対峙が見物。

他のユーザーの感想・評価

2021年 339本目
9.11同時多発テロの首謀者として
拘束され投獄されたスラヒ
裁判もされないまま投獄生活は
何年も続いていた…

同時多発テロがアメリカ国家の
判断力を麻痺させてしまったのか
最初はそんな事を思ったけれど
拘束された人数の多さや拷問シーン
誰かのせいにしなければ国家の秩序を
保っていられなかったのだろう

"自由と赦し"
画面越しのスラヒのメッセージに
自然と涙が溢れた🥺
どう考えても納得できないし
黒塗りにだらけの文章には
違和感しかない…

ラムズフェルド国防長官とか
普通に名指しで驚き!!
これいいの?と思ってしまった🙄
そしてスラヒの演技が自然すぎて
まるでドキュメンタリーを
見てるようだった

この作品は観て良かった
911の首謀者としてアメリカ政府に14年間拘束されたモハメドゥ・ウルド・スラヒさんが獄中で書いた手記を元にした作品。

グアンタナモ収容所を題材にした作品は幾つか見ているが、The Reportが近い内容。裁判が行われることなく不当に拘束され「強化尋問」と言う名の米政府公認の非人道的な拷問が日常的に行われていた。絶望的な状況からの逆転は人権派の弁護士ナンシーの力もちろんだが、モハメドゥを死刑にしてテロに打ち勝った証にしたい上層部に対し、私情は抜きにして疑わしきは罰せずと法に則り待ったをかけたスチュアート中佐の正義に拠る所が大きい。「罪を償わせねばならないが、誰でも良い訳では無い」本当にその通りだと思う。

モハメドゥさんは解放された今も海外への渡航制限(日本含む)がかかったり、完全に自由とは言えない生活を送っている。こんなに酷いことをされたのにアメリカを恨みたくはないと言っていたのがとても心に残った。

2021-78(劇場)
nasuo

nasuoの感想・評価

3.0
この映画を府中で観て、帰宅時は国領を通り過ぎる
国民は法の下で平等なんだけど、彼は法で裁かれた結果の死刑を望んでるんだよな(前日にあった京王線無差別刺傷事件)
yuukite

yuukiteの感想・評価

3.7
劇場で。9.11事件後に作られたグアンタナモ収容所で実際に起きた事件を暴く問題作。弁護士役にジョディフォスター。後半かなり過酷な映像表現もあり。共演はカンバーバッチ、シャイリーンウッドリー。モハメドゥ役のタハールラヒムが熱演。

裁判的には国(ブッシュ、ラムズフェルド)を相手の闘いなのだが、オバマ政権になっても変わらなかったところがアメリカの闇。イーストウッドは扱わない実話題材。

エンディングで流れるボブディランの曲の歌詞、字幕があれば良かったのに残念。。
うまくまとまってる。
疑念があれば何百人でも法的拘束力なしに何年でも拘束しちゃう、法治国家とは。
人権も憲法もこんなに大事なのに、大事なのに...っていつも悔しいし、もう色々泣けてくる。
hoop

hoopの感想・評価

4.0
アラビア語では自由と許しは同じだと言う。罪を許すためには、恨みや復讐の念から自由でなければならないから。
16年もの間無実の罪で拘束された人の言葉とは思えないが、その後のモバメドゥの表情は確かに幸せそうだった。
Taul

Taulの感想・評価

3.0
『モーリタニアン 黒塗りの記録』驚きの壮絶なる実話でアメリカの闇と人権の尊さに胸震える。映画は何かの糾弾や視点の偏りを避けるかのように人物達に寄り添う。時系列での史実ものや緊張のかけひきの法廷ものにしないその気概が最後現実になだれ込むような感覚で身を結ぶ。アメリカの9.11後自省作品はまだまだ続くのだろう。

ジョディ・フォスターが『羊たちの沈黙』ネタをまじえてぶれないキャリアの貫禄。タハール・ラヒムはいつも凄いなりきりだ。製作も兼ねたカンバーバッチが似合わぬ米軍役も脇で好演。ケヴィン・マクドナルド監督はドキュメンタリー作家的に現場で立ち上がったものを大事に撮っている感じだ。

「史実ものや法廷ものにしない」と書いたが言葉足らずで、時系列で着々と描く史実ものや、かけひきで引っ張る法廷ものにしていないと思えたということ。『キャンディマン』に続きエンドロールが強過ぎるように感じたが監督の作家性であり当人の魅力にとても惹かれたのだろう。
拷問のシーンがかなり残酷なのでこれから観る人は気をつけた方がよいです
14年も身柄を拘束されたモハメドゥの
獄中手記を元にしたストーリー。

今まで観た裁判系とは少し違い
タリバン側の組織や集まり等も描かれ
世論で「悪」とされている裏側で
隠された「悪」が暴かれて行く。

予告からジョディフォスターが年取ったなぁ
と思っていましたが 演技は変わらず
品があって格好良かったです。

モハメドゥを死刑にしたいカンバーバッチも
真実を知り揺れる心を見事に演じ
とても素敵でした。

前作から体重が戻ってないのか
まだ頬がこけていたのが心配です💧

途中 辛い描写と光の演出があり
目が痛いのと観ていられないので
スクリーンから目を離してしまい…(汗)

酷い拘束や拷問を受けるモハメドゥ役
タハールラヒムの熱演も凄かったです。
特殊尋問えぐかった。
脚色が多少あるにしても非人道的で心がうってなった
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