のほほんさん

TUBE チューブ 死の脱出ののほほんさんのネタバレレビュー・内容・結末

TUBE チューブ 死の脱出(2020年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

もうね、未体験ゾーンのチラシ見た時からニヤリとさせられるビジュアルとタイトル。未体験ゾーンの毎年の楽しみは、こうした作品に出会い、そしてそれがとても楽しいということにある。
ビジュアルだけで何が起きるか分かるのだから素晴らしいよね(笑)


そしてそのまんまの通りの展開となる本作。あの偉大なナタリ作品(そういえばこの前日本版リメイクが作られてたなあ)のごとき理不尽さは踏襲しつつ、特徴的に異なるのはそこに熟考するヒマが与えられないことだろうか。


腕輪が表示してくる残り時間はチェックポイントごとに設けられているようで、実際に2時間過ごしたから2時間減る、という訳では無さそう。
前に進むしかないチューブに仕掛けられたトラップをクリアしたとしても、とにかく止まらずに進んでいくしかない。迷っていたらトラップに引っかかってしまう。


そのトラップは火責め水責め死体責め(?)と多岐に渡る。参加者同士でトラップ回避を巡って争わされるなんていう残酷な仕掛けもある。そして謎の怪物投入なんていう意外な展開もあり。


主人公が着せられていたSFスーツのおヘソ部分にはなんか差し込み口みたいのがあり、天井から出てくるしゃれこうべマシンは彼女が負った傷を治しながら、そのヘソから栄養補給(?)をしてくれる。
その存在は彼女の守護者のようであり、そして彼女に何かを促すようでもある。娘を失い自暴自棄になっていた彼女にその幻影を見せ、娘を眼前に現出させる。


その前後で彼女はこのTUBEの裏側というか核みたいなとこに行きつくのだが、これまで無機質な通路しかなかった世界において内臓内部みたいなその空間は極めて異質。
そこに巣食う怪物たちはこのTUBEの母たる部分を表出してきている。
そしてそれはそのまま、母である主人公にリンクしてくる。
母であるTUBEは母である主人公に、過去と向き合いつつもそこに囚われず前に進む姿にこそ未来を与えた。


外そうとしても外れなかった腕輪は、1回は酸で焼き切って外したけど元に戻ってきた。しかし戻ってきたそれを再び捨てた時こそ、主人公が時=過去と決別した時でもある。


ずっと狭いTUBE(というか排気坑)の中の撮影は体力的に大変だったろうなあ…と思う。なんたってずっと匍匐前進だ。腰痛になるよね(笑)


B級感ありつつもちゃんとしたクオリティで、しかもなんかこういう作品をフランス語で観るというのもまた面白いポイント。
ビジュアルを見て期待したとこに応えてくれた作品だった。こういう作品を観ておいて映画通ぶりたいですな(笑)