さすらいの雑魚

愛のくだらないのさすらいの雑魚のレビュー・感想・評価

愛のくだらない(2020年製作の映画)
3.8
映画に限らず優れた作品には世界が封じ込まれてる、と思う私です。
予算やCGや人気芸能人とかで映画の優劣は定まりません。

そして本作には世界がある。
昨日より複雑味の増した今日の世界。
多数派主流派幻想が崩壊し世代差や立場の違いによる断片化が鮮明になってきた今、そんな旧多数派群とかつては隠れて見えなかった外国人や性的少数者などの少数派群とが共存しながら分断されてまだ共栄には至っていない今日の多様な世界が自然と織り込まれてる稀な映画を発見した幸福に浸っている私です。

隣人の貴方や貴女と私やコイツが違うことがあたりまえ。
そんな時代の変化をアタマでは理解してるつもりでも心がついていけて無い、社会の中心で時代をつくる側と信じるがゆえに旧主流派の夢(おそらく彼女自身が苦しんできた幻想)が覚めてないテレビ局員のバリキャリ女性が主観的苦悩と個人的悪戦苦闘の果てで周囲を傷つけながら晒す醜態と惨めさとを描くことで物語を推進し、覚醒と成長で救済する。
監督さんの冷徹な意図とキャラクターへの愛のバランスが絶妙で嬉しくなりました♪
正直言って不快な人物でしたが一生懸命生きてた主人公、あのままでは彼女が可哀想すぎだもの。

よい映画を見ました😊