「サマーウォーズ」以来の現実と仮想空間の世界を描いた細田守作品。
今のネット社会をしっかり反映させた作品だなと感じた。現実の自分とネット上の自分、2つの自分の存在が当たり前になった世の中で「本当の自分」の大切さ、偽りのない自分としてどう行動してゆくのかという事を強く訴えかけてくる作品。
世界観は「美女と野獣」に近い。「美女と野獣 in インターネット空間」といった感じ。そう思って見るとベルのキャラデザもディズニー作品に出てくる人っぽい。
仮想空間の描き方は「サマーウォーズ」の時よりもより美しくなっている。ずっとUの世界を味わいたいし、よりこの世界を細部まで見てみたいと思える美しさ。
中村佳穂さんの歌声は本当に素晴らしい。このベルというキャラクターを歌姫にしているし、この作品の世界に一気に惹き込む力を持った歌声。
Adoやyama、ずっと真夜中でいいのに。など最近の音楽業界を賑わしているアーティストがみんな素顔非公開の人たちばかりという現状からこの映画の「ベルの素顔を伏せて仮想空間で活躍する歌手」という設定はかなりタイムリーだと思う。
「家族」というテーマに重きを置いている印象。主人公すずの母親の行動のシーン然り父親との関係性然り、仮想現実でどんなに華々しさを味わおうと結局本当に生きていかなければならないのは「現実」。現実を生きる大切さを感じた作品。