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竜とそばかすの姫のフラットラインのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
4.5
細田守の新作とあっては観ない訳にはいかない・・・といいつつ「未来のミライ」は映画館で見られなかったぐらいの熱量ですが、今作は音楽が大切な要素であるとのことなので、映画館で見なくてはならんだろうと。

「人の心を惹きつける音楽」を観客に提示しなくてはならないという高いハードルを用意しなくてはならない本作。「BECK」で痛い目を見ていたので、このハードルを乗り切るためにどのようなギミックを用意するのかなと思っていましたが、ギミックなど一切必要ありませんでしたね。クライマックスの歌では涙が止まりませんでした。

ストーリーは「美女と野獣」がベースになっているので、ディズニー臭がプンプンしているのが気になりました。細田さんはわざとその要素を盛り込んでいるのでしょうが、露骨すぎて・・・ね。
だけど、つまらなかったなんてことは全くなくて、シンプルでわかりやすいストーリーでもグイグイ引き込まれていく感覚に「やっぱり凄いなぁ、細田さん」と上映中、ずっと思っていました。あれだけ地味な最後の問題解決を提示しても、それで感動させる説得力は本当に凄い。

今作で最も心に残ったのは、親子とのつながりでした。特に、他人の子供を助けるために、自分の身を挺して死んだ母親と自分がしていることを重ねるシーン。ここで母親の気持ちを初めて理解するんですが、この大きな変化に、すずは言葉を発しません。
そのシーンで流れる「心のそばに」は僕にとって生涯忘れ得ない一曲となるでしょう。

これは絶対映画館で観なくては「ならない」作品です。DVDでも金曜ロードショーでもだめです。数十年後、「俺、『竜とそばかすの姫』は映画館で観たぜ」と自慢できる作品だと思います。是非是非観てください。お勧めします。

asは生体認証でアバターを作るということは、「本当の自分」をネット上に投影させるということで。なんかこわいなぁ・・・。
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