kiu

竜とそばかすの姫のkiuのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.0
りゅうそば歌ってみた映画

今何時だい?古典落語の「刻そば」みたいなタイトルやね。

略称が「時かけ」「さまうお」とか言われてた頃から、なんか落語の演目みたいねって思ってたけど、蕎麦が出たらもう落語なんよ。グリム童話が海外ドラマになるなら、古典落語もリストアして創作できる様な?なんて関係ない事を思ってみたりみなかったり。

異世界に転生するくらい、あるあるな電脳仮想空間ものです。流行りのメタバースって奴ですな。そういやメタバースを流行らせようとしてる人達が“セカンドライフ”(まだサービスしてるのね)に触れないのは失敗例だからかしら?


「美女と野獣」を下敷きにしたミュージカル寄りな作品で、細田作品の中では1番の興行収入。それもそのはず、ビビるほどのトップクリエイターが携わってる。やれディズニーだ、やれFFだ、やれファッションデザイナーだ。。。冒頭の大行進は『パプリカ』っぽいなと思ったら、今敏監督(早逝されて悲しい。生きていれば間違いなくアニメーション業界のトップを張っていた天才)の美術監督だった方が本作の美術監督だったり、「そのもの蒼き衣を纏て金色の野に降りたつ」っぽいなっと思ったら、声優の中に『ナウシカ』いるやん!だったり。オバさまズの声の人も渋い人選だったり。。。ビジュアルやサウンドや演者の圧倒的なオールスター感は凄いね。これらをまとめた細田監督としての技量は疑いないと思う。

なのですが、、、

この隙がない布陣に残念な子が1人だけ、脚本・細田守くんだよね。流石に無茶苦茶じゃね?SNS社会の警鐘とか、DVの社会問題とか、それっぽく組み込んでるけど、組むというより乗せただけというか、全部がモザイク感というか。。。なんか感覚的で論理的じゃないのよね。

まぁその芸術家気質が作家性だし、なんでも現実的でロジカルにしたらツマランじゃん!そのハードルを超えられるのがアニメ/漫画の良いとこじゃん!って理屈は解るけど。。。ここまで適当がすぎると、アニメだし〜で目を瞑るにも限界があるかと。

今だに語られる名作『時をかける少女』『サマーウォーズ』は脚本が別についた作品。もう答えは出てると思うけど次回作はどうなることやら。。。なんか本作の興行で結果出ちゃったし、客が観たいモノを観せるじゃなくて、自分が作りたいモノを作るの作家性つよつよ芸術肌っぽいし、、、観客としては残念な方向に向かいそうだなぁ。
kiu

kiu