たにたに

竜とそばかすの姫のたにたにのレビュー・感想・評価

竜とそばかすの姫(2021年製作の映画)
3.3
【川に流したくなる話】2022年136本目

歌もいいし、絵もいいし、題材もいいし、キャラもいいし、声優さんもいい。
でも脚本は非常に残念。

映画に馴染みのある人はこれを見て満足できないし、作り手に不信感をいだく。
久しぶりに映画を友達と、家族と、見にいく分には良いかもしれない。

結局何の話なの?って聞かれたら、答えられる人がほとんどいないと思うんですよね。

主人公が幼少期、川に溺れた見知らぬ子供を助けようとした母親が亡くなって、それによって今もなお、心にしこりがあるという心情描写は映画を展開させるにあたって非常に重要な要素を取り入れてると思います。そんな彼女が、ネットの世界で活躍できるというファンタジーもとても素敵。

この母親のとった自己犠牲と、
主人公のベルがビーストのために自らの正体を明かす、というのを対比して描いているのだと思います。

ベル⇔すず⇔母親
    ↕︎
   ビースト

すずをとりまく様々な関係性が彼女を成長させている。なんとなく言いたいことはわかる。

何か腑に落ちない感じが作品全体に渡ってあるのは何故だろうか。
まず、Uという仮想世界がわからない。アバターを作ってスマホで操作しているでなく、アプリが利用者の生体認証によって脳内を占領してるわけです。その中でアプリの中では、誰かの悪口を言ったり、ヤフコメ民みたいなのが湧き上がっているわけで、正義を振りかざす度が行きすぎてアベンジャーズみたいなヒーローチームも出来上がっているという。設定が突飛すぎてついていけません。

あとは、
すずの成長のきっかけが自己完結だからなんですよね。
あ、私この人好きかも。
あ、私この狼助けたいな。
あ、私歌ってるときの自分好きかも。
あ、東京行こ。
待って待って、何でそう思うの?何でその行動をするの?
置いてけぼりにされていく。
その自己完結に、母親はどう影響しているのでしょう?それさえ明らかにしてくれたら納得いけました。なんで母親は自分の子供を置いて、1人亡くなってしまったのか?

どうせまとまりなくつくるなら、やるならもっと意味深に、もっと難解にしてしまったほうが良いかもしれない。
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