TAKUMARO

アウシュヴィッツ・レポートのTAKUMAROのレビュー・感想・評価

3.5
1944年4月、アウシュヴィッツ=ビルケナウ収容所。
二人のスロバキア系ユダヤ人の遺体記録係の二人が収容所の実態を伝えるべく脱走を実行する。

前半は脱走の機会を伺い身を潜める二人と手助けをしたとして過酷な状況に置かれる仲間達をジリジリとした陰鬱さで描いているかと思われたが、後半は駆け足でかなり呆気なく脱走し、赤十字に訴え出るまでの展開が希薄にすら感じる。

収容所の即時の空爆を願い出ながら叶わず、二人がレポートを纏めるに数ヶ月を要した事は、忸怩たる思いであった事は想像に難くない。
レポートのお陰で12万人の収容所の移送が中止になる一方、脱走から数ヶ月後にアンネ・フランクが一時収容されていた時期もあり、ラストシーンの振り分け等、歴史の知識が自分の中で構築され繋がっていくと更に複雑な思いになる。

エンドロールで投げ掛けられる言葉の数々。
脈々と現代まで負の遺産が引き継がれている現実は辛い。

・前売り◯、パンフレット○
■2021年劇場観賞記録-064
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