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アウシュヴィッツ・レポートのKsskyのレビュー・感想・評価

3.2
欧州における極右勢力の台頭、かつての民族への虐待が再び起こる、のではということを肌感覚で感じている監督だけに非常に強いメッセージが伝わってきた。

アウシュヴィッツの残虐さとその中でも清廉に生きる人間の強さが描かれていたのは良かったと思う。

ただ、物語の始まりが唐突すぎて脱走したのが誰なのか掴みづらいことや、脱走の方法も一旦掘っておいた穴に隠れて夜半に逃走というもので、今ひとつ緊迫感にかけるというか有刺鉄線のフェンスってそんなにヤワだったのだろうか、警備があまりに手薄すぎやしないかという疑問が生じてしまう。

逃走、告発と収容所での虐待を並行して描いて、彼らがなぜそこまでして急いだのか、赤十字の怠慢とも思える対応に対する焦りや憤りをもう少し訴えかける仕方で表現しても良かったのではと感じた。

全体的な映画の出来は今一歩改善の余地はあるものの、今のネットでは繋がりながらも精神的には分断している時代を生きる現代人が見るべき映画であると思う。
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