コマミー

スペンサー ダイアナの決意のコマミーのレビュー・感想・評価

3.5
【重圧が彼女を苦しめる】




これは"監督の願望"と"実際の現実"が入り混じった、"ダイアナ妃"のヒューマンドラマであった。
恐らく本作から感じるのは、"演者を用いてダイアナ妃を描く"と言うのは、"限り"があるのではないかと言う事だ。尚更、本作はドイツの製作スタッフが多くを占めている為、他国が"英国王室"を描く事の限界が本作で感じられた。そもそも、王室と言うのは当然ではあるが、我々には限られた情報しか入ってこないし、なんせ実際の現実なんて分かるはずもない。
本作やドキュメンタリー「プリンセス・ダイアナ」で描かれたり、映されたりするものが、我々が見る事の出来る最大限のダイアナ妃の姿なのかもしれない。

例えば、ダイアナ妃の心の拠り所的存在の、"サリー・ホーキンス"演じる衣裳係の"マギー"の存在。こちらは実は、本当にいるのかどうか定かではない。これは実は監督が作り出した、ダイアナ妃の"光を作る為の存在"なのかなと感じた。ダイアナ妃は常に、自分の立場に対する"重圧"に押し潰されそうになっていた事から、それを「和らげる存在がいたら…」と言う事でマギーを作り出したに違いないのだ。それが、ラストでダイアナ妃を心身的にも精神的にも飛躍するキッカケになるのである。

そして、彼女の"愛車"の事についてなのだが、ダイアナ妃の愛車として"ポルシェ・カブリオレ"が登場するのだが、私はその後必死に調べたのだが、実際には"フォード・エスコートRS2ターボ"が出てくる。のでこちらも定かではない。これは彼女の女性としての飛躍の象徴として、あえてこのスポーツカーにしたのだと思う。実際、彼女がカブリオレを疾走させてる姿はカッコよかったし、実際、ダイアナ妃が"心を開放させる手段"として役目を果たしていた。

そう。まとめると、これは1人の女性が檻から解き放たれるまでを描いた、一種の"出世物語"なのではないかと思うと、とても映画的なヒューマンドラマだなと確信した。

彼女をもっと知りたければ、やはり「プリンセス・ダイアナ」を観た方がいいなと感じました。
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