シムザスカイウォーカー

スペンサー ダイアナの決意のシムザスカイウォーカーのネタバレレビュー・内容・結末

3.0

このレビューはネタバレを含みます

ダイアナが憑依したかのよう!
首を傾げるしぐさや、歩き方でここまでダイアナを表現できるのかと感嘆する。アカデミー賞主演女優賞ノミネートも納得である。

ヘアメイクが吉原若菜さん(『シンデレラ』、『オリエント急行殺人事件』など)というのも見どころ!ダイアナの特徴的なショートヘアの再現度の高さよ!

冒頭で「実際の悲劇に基づく寓話」というテロップから始まる今作は、クリマス前後の3日間を描いている。

王室の厳しいしきたりや、パパラッチからの執拗な執着、世間からの好奇の目、そのプレッシャーは想像し難い。カーテンを開けることも許されないだなんて、一人の人間として尊厳を蔑ろにされているも同然では…?

そんな生活の中で、車を運転するのは唯一安心できる時間だったのかもしれない。自分でコントロールできないことばかりの王室で、自分のコントロールがきく車がどれだけ彼女の安らぎになったか。

そして子どもたちの存在が、彼女を奮い立たせていたことは明白だ。キジ撃ちを嫌がる息子たちの意思を尊重して、抗議の意味でその場に立ちはだかったり、子どもたちを連れてケンタッキーを食べる。(実際にはマクドナルドだったとのこと)

王室の子どもたちは家庭教師が勉強を教えることが通例だったが、ダイアナは子どもたちを一般の学校にも通わせたという。ロイヤルファミリーの王子としてではなく、一人の人間として向き合い、周囲の人とも助け合って生きていけるように育てたかったのかもしれない。

それまでの王室では公務があれば公務が最優先なので、幼子と半年会えずということもあったが、ダイアナは生後9ヶ月の幼いウィリアム王子を公務に連れ立った。ナニー任せにせず、出来る限り子どもたちとの時間を作れるよう調整していたのだ。

彼女は王妃としての自分ではなく、個人としての自分と母としての自分として生きることを選んだ。保守的な層からはバッシングに遭ったに違いないが、そういう姿に親しみを持つ人が多かったから没後25年経っても人々の記憶に残り、こうして度々取り上げられるのだろう。