たむ

ホロコーストの罪人のたむのレビュー・感想・評価

ホロコーストの罪人(2020年製作の映画)
3.5
多くのホロコースト映画がある中で、本作もあらゆる意味で想像を絶する悲惨な実話映画です。
ノルウェーがナチスドイツに協力して、ノルウェー人がノルウェーのユダヤ人を絶滅収容所に送っていた、という衝撃の実話。
それをノルウェー映画として描く映画製作者の覚悟というものがヒシヒシと伝わってきます。

全体主義は行き過ぎなナショナリズムでもあると思うのですが、ユダヤ人ボクサーである主人公が、スウェーデンの選手を倒し、観客が「ノルウェー」と喝采するシーン。
その後、多くのノルウェーのユダヤ人の亡命先であったのがスウェーデンであるという皮肉。
これだけのシーンが私にはゾッとするものを感じさせました。

ある一家の視点からこの恐るべき歴史を描き出していくため、その家族が体験していくパーソナルなドラマが心をえぐるように、現代を生きる観客にも伝わるように作られています。
今回もどのホロコースト映画とも似ていない恐ろしい映画でしたね。
たむ

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