ぽち

ホロコーストの罪人のぽちのレビュー・感想・評価

ホロコーストの罪人(2020年製作の映画)
3.2
原題Den største forbrytelsen=「最大の犯罪」からも分かるようにメインテーマはノルウェー人自らがホロコーストに関与していた事だが、それをある家族のミニマムな視点から描いているので感情移入はしやすい。

ただ、それがテーマを際立たせているかというと逆効果で、一番訴えたいナチに加担した自国の国民の掘り下げが疎かになってしまったのが残念。

エンドロールで出るように2012年に政府は関与を認めているので、その事実は周知であり、一番描かなければいけない「なぜ人々は加担したのか」がすっぽり抜けている。

結果として戦争に翻弄されたかわいそうな家族の話が前面に出てしまった。悪く言うと「よくあるホロコースト物」という作品。

また、今までも何度となく書いてきたのだが、あくまで実際にあった事を元にしたフィクションだという事を念頭に観るべきだろう。
監督の思想、意見が色濃く出ている「作られたドラマ」で、これが歴史ではない。

今作では特にテーマにちかい「罪人」とされる秘密警察のロッドの描き方だろう。ナチスに加担したという一面だけをクローズアップし、ストレートな悪人と脚色して、エンドロールで「無罪となって警察署長を続けた」と見せ、嫌悪感を煽る。

娯楽としての映画なら憎まれ役は当然このような扱いを受けるのだが、今作のように「実話」を謳い歴史を糾弾しようとするような作品で、このような稚拙な人物描写はいかがなものだろう。

他のエピソード、キャラクターについても同様の事が言える。
普通のノルウェー国民が、なぜナチに加担したのか?その歴史的背景と、人物の心の掘り下げが出来れば、深い見応えのある物になったのに残念。

結局、前にも書いたように「かわいそうな家族の物語」で終わってしまった作品。


余談。
今作、見所はヒロインのクリスティン・クヤトゥ・ソープ。当時のファッションも似合っているし、なんと言っても一瞬だが「乳見せ役」もこなしている。

モデルになった実在の人がどれほど美人だったかは知らないが、エンドロールで、終戦後帰ってきた夫といきなり別れたってのは、申し訳ないが笑ってしまった。
ここに一番リアリティがあるってのは「実話ベース映画」の最高の皮肉だな。