ホロコーストの罪人の作品情報・感想・評価 - 2ページ目

「ホロコーストの罪人」に投稿された感想・評価

m

mの感想・評価

3.7
ノルウェーにおけるホロコーストの実態を描いた、ノンフィクションの原作をもとにした作品。

今までホロコーストについて描いた映画を見ても、極端に言えば「被害者であるユダヤ人と残酷極まりないナチス、そして胸がしめつけられる苦しい気持ちになる結末」という記憶で自分の中では終わってしまうことも多かった。漠然とヨーロッパで起きたことという認識で、映画で描かれた出来事や登場人物がどの地域のことなのかということもあまり意識して見ていなかったと思う。

ですが本作では、当時ノルウェーがどういう状況で周辺国とはどのような関係性にあったのか、ノルウェーにおけるホロコーストの背景にはどのようなことがあったのかなど、映画を見終えた後にもあれこれ関心を抱いてしまいました(自分の無知さを実感…)

このような史実に基づいた映画では、この事実を発信して語り継がねばならないという作者の使命感のような思いが込められていることも多いと思うのですが、そういった意味では特に私はそのメッセージをそのままストレートに受けた作品だったなと思います。

劇中でホロコーストに加担したノルウェー人たちを擁護するわけではないけど、咄嗟に出てくる差別的な発言や態度は長年心の根っこにあった本音でもあれば、戦況が悪化するにつれて生きていくためにそうせざるを得ず、いつの間にか変わってしまったということもあるのかな(あのタクシーの運転手さんとか。)

これが過去の出来事で終戦とともに終わったことではないのだなと、元の家族の関係性に戻れなかったことからも、色々思うラストだった。現在世界で起きてる迫害や紛争とも地続きになっているようで。
mity

mityの感想・評価

4.0
ホロコーストに加担したノルウェーの罪を描いた本作。力を持ったナチスに侵攻され、従わざるおえなかったという側面もあるかもしれないけれど、でも、「ついにきたぞ」「やっと追い出せる」との言葉には、命令に従っているからではない本音の部分が込められているような気がしてゾッとした。

身分証に「J」を押印され、家族は引き裂かれ、資産も没収され、徐々に徐々にでも確実に追い詰められていくブラウデ家を始めとするユダヤ人たち。何が起こっているのか、これからどうなるのか、何も知らないまま無慈悲に取り上げられた身分証に、胸がきゅっとなった。

モノクロの映像と無音で描写された最期の時。悲鳴をあげる間もないほど、あっという間に苦しみの中に堕ちていったのかと思うと・・・。残された脱け殻の衣服だけが、確かに彼らが存在したことを証明しているようで、それが何とも無力に思えて、涙が込み上げてきた。

“ノルウェーにおけるユダヤ人の過酷な物語はまだ数多く存在する。スウェーデンへ亡命したユダヤ人は約1200人。これはブラウデ家の物語である。”
ホロコーストや戦争を扱った作品は幾つも観てきたけれど、人の数だけまだまだ悲劇が存在することを改めて思ったメッセージだった。


#90_2021
亘

亘の感想・評価

3.8
【国に裏切られた者たち】
ブラウデ家はナチスの迫害から逃れノルウェーで暮らしていた。しかしある時警察が突然逮捕状を突きつけ男たちは収容所へと送られる。その後の1942年11月。ノルウェーの秘密警察はユダヤ人をアウシュビッツを送る掃討作戦を実行する。そしてブラウデ家の人々は引き裂かれることとなる。

ノルウェーが国家としてホロコーストに加担していた実話をもとにした作品。他のホロコースト作品にも劣らない壮絶なシーンも多いけれど、本作が異なるのは主にナチ党員ではなくノルウェー国家によって収容や迫害が行われたということだろう。これは2012年になって初めて国家から認められた事実で、それを題材にした本作はノルウェー国民にとっては衝撃的だっただろう。しかし母国の過ちに真摯に向き合う本作が存在し評価されることは、ノルウェーが健全であることのあかしともいえるかもしれない。

ユダヤ人一家のブラウデ家はノルウェーでソーセージ店を営み暮らしていた。次男のチャールズは有名なボクサーで、ノルウェー代表としてスウェーデン選手と対戦し勝利するほどだった。さらに彼はラグンヒルと結婚し幸せな日々だった。

しかし彼はある時に警察から突然逮捕され収容所へと送られる。収容所では集められたユダヤ人の男たちが強制労働をさせられ、さらには看守からのいじめもあった。一方で町に残された女性たちも迫害を受ける。チャールズの母親は財産を没収され、隠れながら暮らしている状況だった。

そして1942年11月のある日ノルウェーの秘密警察が動く。ユダヤ人女性も集めてアウシュビッツに送る掃討作戦を秘密裏に始めたのだ。男性は収容所から直接船へ送られ、女性たちは家から引っ張り出される。その後はガス室での虐殺へと続くわけだが、その中で印象的だったのはかすかな人間味を感じるところ。例えばユダヤ人女性を送るタクシーの運転手は、「自分だってユダヤ人を追い出したい」と言いつつもちんたら仕事してわざと船に間に合わないようにする。そこで1人別のタクシーに移すとなれば、母子を守るためブラウデ家の母が率先して乗り移る。またアウシュビッツでブラウデ家が再会すれば集まってハグをする。このブラウデ家の姿は家族愛を感じるとともに切ないシーンだった。

本作の描く事実の壮絶さには心が痛むけれども同時に構成に少し気になる点もあった。おそらくは史実に忠実であるのかもしれないが少しモヤモヤしてしまった。
まず本作はブラウデ家の中でも次男のチャールズをメインに描いた作品だろう。序盤はひたすらチャールズの幸せな様子が描かれているし、本作はそこからの落差を描こうとしたのだと思う。しかしチャールズの話は収容所で終わり、チャールズの後日談は文章で知らされる。妻との関係について、どういう経緯だったのか気になる内容だし、そこにドラマや葛藤があっただろうが全く描かれないのだ。
また秘密警察の幹部ロッドが重要人物かのようにたびたび出てくるものの、なぜそこまで注目しているのかわからず伏線が改修されていないような気分になった。たしかにユダヤ人弁護士夫婦とのやり取りは作中からわかるが、このロッドの葛藤が描かれていても良かったようにも思う。

構成としては釈然としない感じがあったものの、やはり収容所の過酷な環境など忘れられないシーンも多い作品。史実として記憶すべき重要な作品だと思う。

印象に残ったシーン:ブラウデ家の母がタクシーを移るシーン。故障したタクシーを置いて船が出航するシーン。収容所の前でブラウデ家が集まってハグするシーン。
ホロコーストをテーマにした作品は結末が分かっているだけに真剣に落ち込んでしまう。前半、ブラウデ家の幸福な様子がよく描かれていただけに、ナチスのノルウェー侵攻で一転、ジェットコースターのようにブラウデ家がたどり着く運命はまさに悲劇だった。あの老夫婦は言われるがまま、訳のわからぬままアウシュビッツに連れてこられ、まさかその日のうちに死んでしまうとは夢にも思わなかったろう。無音の中、素っ裸にされたユダヤ人たちがまとめてガス室に送られていくシーンは象徴的。何と言ったらいいのか、ただただ落ち込んでしまうばかり。人類の悲劇である。
ホロコーストの映画はたくさん観たけれど、小さな視点で一家族を取り上げていることでとても現実的に感じられた。
大きなうねりの中、抵抗の術もなく死んでいく姿に自分が重なる。
かれん

かれんの感想・評価

3.4
ナチスドイツによるユダヤ人大虐殺の細部を知る意義は十分にあるとは思うが、主題であるところのノルウェー政府の加担に関しては何の意外性もなく、告発の意味合いは薄い。
ナチスドイツ支配下にあってはノルウェー政府が命令に背くことは許されなかったわけで。それを息巻いて告発したところで…
政府が戦後さっさと加担を認めていればよかったとは思うけど。
かび

かびの感想・評価

3.7
始終しんどい。
『ヒトラーに屈しなかった国王』で学んだ通り、国王は最後まで国の尊厳を守ろうと頑張ったのにね、、
ドナウ号が現れた時の絶望感が本当にしんどかった。
無音のシーンで、小学生ころアンネの日記を読んで初めてホロコーストを知った時の、あの何も言えない感情を思い出した。
知らなかった…

もう、どこに亡命してよいのか分からなくなるほどの絶望、悲しみとそして怒りと…

実話であるが故に、なおさら、心が痛くなりました。
ノルウェーのWWIIはNarvikの戦いくらいしか知らなくって、ホロコースト、ましてやノルウェーが加担していたことなど知らなかった。自分達で有刺鉄線はらされたり穴掘らされたり、ホロコースト等のそういう描写が苦しい。
あとEskildがいた〜!!
ノルウェーの秘密警察がナチスによるユダヤ人強制連行に協力していた話。
ホロコーストに関する映画の結末は一つしかないため心苦しいのですが、毎年新しく作られる映画を観て、今の自分自身の行いを悔い改める時間を設ける。
人に優しく、自分に厳しく時に甘く。

あなたにおすすめの記事