砂場

夜霧のマンハッタンの砂場のレビュー・感想・評価

夜霧のマンハッタン(1986年製作の映画)
4.5
アイヴァン・ライトマンの傑作だ、、、何本かレビュー

合掌

ーーーあらすじーーー
■小さな女の子の誕生パーティー、父親は絵をプレゼントし裏にサインをした。大勢のパーティー、ダンスする人、揉めている人、娘はベッドに入る。
火事、男が血相を変えて娘を救い出す、逃げろ途中、父親が誰かに押し倒されその上に火のついた柱が、、、、
■18年後。有能な検事ローガン(ロバート・レッドフォード)は上司から次期地方検事長を引継ぎ、その就任の会合に知り合いの弁護士ケリー(デブラ・ウィンガー)がモデルのような長身の美女チェルシー(ダリル・ハンナ)を連れてきた。チェルシーは絵を盗んだ件で起訴されていたが、彼女によればあれは父から贈られたもので自分に権利がある。ローガンは不起訴にすることも検討すると言った。
チェルシーは18年前の火事で助け出された娘だった。焼死した父はセバスチャン・テアドンという画家であった。
■ローガンとケリーは起訴したフォレスターを訪問すると、すでに絵は画商のタフトに渡した、さらに告訴は取り下げるとのこと。
タフトの画廊で絵を確認するが裏にサインはなかった。
チェルシーは誰かにつけられているとローガンを頼る、彼女の家で奇妙な火のパフォーマンスを見せられて迫られるが振り切って帰ってきた。
■なかなか寝付けないローガンとケリー、食べまくり、雨に唄えばを口ずさむ。ケリーの家にキャヴァナウ刑事(ブライアン・デネヒー)が来て、18年前の事件の資料を置いていった。
■タフトが怪しい、彼をつけると倉庫に入っていった。そこにはフォレスター、タフト、ブロックの3人が設立した会社の登記と、フォレスター、タフトがテアドンの死亡で保険金を受領していた資料を発見する。時計のような音で時限爆弾に気がついた二人、倉庫に閉じ込められるがフォークリフトで脱出、倉庫は大爆発。
■その夜、チェルシーが家に来て偶然訪問してきた別れた妻は娘を置いて出ていってしまった。
ローガンとチェルシーは一夜を共に。すると突然刑事が踏み込んできた。タフトが殺され、チェルシーが容疑者だった。
■新聞でローガンは依頼人と寝る検事というゴシップネタに。検事長昇格の話はなくなり、ローガンは逆ギレで検事をやめる。ケリーは呆れるが、それでもチェルシーの弁護を引き受ける。しかし新事実が。
チェルシーはタフトと関係があったのだ。知らされていないケリーは怒る。法廷でフォレスターを見たチェルシーは、あんたが父を殺したと叫ぶ。
■ローガンとケリーは殺し屋に車で襲われるが、殺し屋が運転を誤り事故死。男の財布にフォレスターの名刺があったが、フォレスターは殺されていた。絵画の貯蔵庫を調べているとタフトのオフィスにあった
のと同じ彫刻が。ケリーとチェルシーは再度タフトの画廊に向かう。オフィスに来たのは銃を手にしたキャヴァナウ刑事。この彫刻の中に絵が隠されておりそれを持ち出しに来た。キャヴァナウ刑事の正体は
ブロックだった。
フォレスター、タフトとは犯罪仲間であったが保険金を二人がガメて自分だけ投獄されたことを恨み殺したのだ。ケリーとチェルシーは殴られ部屋に火をつけられる。ローガンは警察署でキャヴァナウ刑事が偽物だと知り大急ぎで画廊に向かう。
火事の中でローガンはキャヴァナウ刑事=ブロックは転落死。ケリーとチェルシーを救い出す。絵の裏にはサインがあった。
■チェルシーへのタクト殺しの疑いは晴れ告訴は取り下げ。
チェルシーは父の死の真相を知ろうとタクトの愛人になり、ローガンにも接近していたのだった。
■検事の復職の話があったが彼はそれを蹴ってケリーと二人で弁護士事務所を始めた。
ーーーあらすじおわりーーー


🎥🎥🎥
アイヴァン・ライトマンの傑作だ
改めてあらすじを書くとかなり荒唐無稽なのだが💦名優の演技と映画全体の流れで強引にねじ伏せるナラティブのスタイル。
冒頭からスピーディーに魅せる。小さな女の子、パーティーの乱痴気騒ぎ、不穏な客、火事、、と畳みかける
カットはこの映画全体を表すような超速展開。

サスペンスに一定以上のリアルなロジックを求める観客はこの映画は好かないかもしれない。
事件→調査→解決という流れの中に、偶然とか意味不明とか間抜けな行動とかマクガフィンとかが連鎖的に現れるので突っ込み始めるとキリがないほどである。
例えばチェルシー(ダリル・ハンナ)の火のパフォーマンスとかいらないっちゃいらない場面。でもこの無駄を愛せるかどうかがこの映画を受け入れられるかどうかだ。
また、殺し屋の間抜けさたるや、、、自分で車クラッシュして死んでしまうとか、
キャヴァナウ刑事(ブライアン・デネヒー)の行動も詰めが甘いとか、、😅

そこにロバート・レッドフォード、デブラ・ウィンガーの80年代的わちゃわちゃ感、お互い好きなのになかなか言えない80年代的ロマコメがかぶさる。
次から次へと起こる事態を名優の魅力で繋ぎ止めており、見終わるとなんか細部は????でよくわからないけど面白い映画を見た気分になる。この謎の説得力は80年代的でありアイヴァン・ライトマンの”作家性”だろう。

個々の場面をこれって笑うところ?とか監督の意図とかロバート・レッドフォードはなんで「雨に歌えば」なんだろうとか、デブラ・ウィンガーはなんであんなに過食してるんだろうとか登場人物の行動の理由を考え出すと楽しめないのでこの映画のリズムに一気に乗って観終わったら細部は綺麗さっぱり忘れるくらいで良い

合掌
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