富樫鉄火

マシュー・ボーン IN CINEMA 赤い靴の富樫鉄火のレビュー・感想・評価

3.5
わたしが偏愛する名作バレエ映画の舞台化。
このご時世にしては客席がシニア中心に埋まっており、おそらく、むかし、映画に魅せられた方々だと思う。
だが、あまり映画のことは意識しないほうがいいように感じた。
やはり、あの映画の世界を、セリフなしのダンスだけで、舞台で再現することは無理だった。
だが、まったくのオリジナル・ダンス・ミュージカルだと思えば、たいへんよくできた舞台で、おそらく、マシュー・ボーンの最高傑作に近いのではないか。
主演の女優ダンサーは、映画のモイラ・シアラーのような可憐さはなく、バレエ・ダンサーよりモダン系の体格だが、いかにも現代的で、かえってよかったかもしれない。
わたしの見方が下手なのかもしれないが、男優ダンサーに、似たような顔つき・メイクが多く、時々、区別がつかなかった。
音楽が、映画とはまったくちがう、バーナード・ハーマンの別映画の音楽が使用されており、これは実に効果的だった。
なお、プログラムが、プレス資料の翻訳に、日本側のエッセイが2本ついているだけで、あれで「800円」とは、暴利ではないか。
富樫鉄火

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