Rita

マシュー・ボーン IN CINEMA 赤い靴のRitaのレビュー・感想・評価

4.0
アンデルセンの童話『赤い靴』が原作のお話。踊るために生まれてきた少女ヴィクトリアの情熱と才能に魅せられた二人の男性が少女の運命の歯車が狂わせていく。

スクリーンですがバレエの劇を観たのはこれが初めてでした。なんて美しいんだろう。贅沢すぎる至福な時間は、あっという間に終わりました。愛と芸術とキャリアという究極の選択肢。

私だけかもしれないけど『オペラ座の怪人』と雰囲気が似てるように思った。劇団四季で観た時に感じた感情と同じような気持ちになったからかな。『オペラ座の怪人』では怪人が心を寄せる若手オペラ歌手のクリスティーヌへの才能も含めた恋心。クリスティーヌの幼なじみで恋人でもあるラウルへの怪人の嫉妬。似た点はありますよね。今回の『赤い靴』も凄く好きなタイプでした。アダム・クーパー演じるボリスが高貴で気品さを持ち合わせた素敵な人でした。

一番好きなシーンが、バレエ団プロデューサーのボリスとヴィクトリアが対面し、ボリスの前でヴィクトリアが踊るシーンなのですが、何故か胸が熱くなり身体中が鳥肌で痺れました。バレエでは数少ないスポットライトが照らされますが、その上や下から当たるライトによる顔や衣装に見える影が好きなんです。何よりも舞台の設置にもこだわりが見えてきます。一番好きなシーンの時、ヴィクトリアが踊っている後ろには大きな絵画と地味だけどゴージャス感が溢れたカーテン。こんなに豪華絢爛な舞台は久しぶりでした。

英国バレエ界の奇才、マシュー・ボーンが10代の頃から愛し続けたクラシック映画の名作『赤い靴』を発表し、ローレンス・オリヴィエ賞2冠に輝く。『市民ケーン』、『サイコ』を手掛けた映画音楽の巨匠バーナード・ハーマンの名曲に乗せて、愛と芸術をめぐる不朽の名作が鮮やかに甦る。🩰
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