kyoko

三月のライオン デジタル・リマスター版のkyokoのレビュー・感想・評価

3.8
鬼滅にもシンエヴァにも乗り損ねた代わりに、90年代初めに巷を熱狂させた映画を観た。
環境音とか生活音とか周囲の音でセリフが聞き取りづらいのは『風たちの午後』と同様。でもセリフは100倍聞こえる。
そして演出がさらに凝っている、凝りすぎて、ぎりぎりのバランス。

リアルタイムで観てたら「すごいの観た!」と騒いでいた気もするけど、生理的に受け付けなかったかもしれない気もする。
30年後の自分のどの部分に触れたかはわからないけれど、好きか嫌いかでいったら、これは「好き」に軍配があがった。
終わりが決まっている家、行きずりの男と一夜を過ごすホテル、解体現場の見える堤防、アイスの居場所はタブーにふさわしく淫靡で猥雑。なのに兄の記憶が戻ることへの恐怖におののく彼女からは極めてピュアなものしか見いだせず、アイスが何度も口紅を塗り直すところで急激に泣きそうになった。
ラストのハルオの泣き笑いの顔も忘れられない。この人もう亡くなってるんだよねえ。。。
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