長年連れ添ったゲイカップル、幸せな日々に影を落とすパートナーの若年性認知症。すべてを忘れてしまう前に、ふたりは思い出の地を巡る最後の旅へ出る。詩的で美しく、途方もなく悲しい作品。主演2人のファンであるほどつらく安易に人に勧められない。でも、この2人で良かった。
想い合うふたり、彼らを見守る家族、友人。幸せであるほどに失うものも大きい。劇中で2人の出会いや生活ぶりについて語られないし、回想シーンもないけど、脚本の行間、言葉の隅、交わされる視線ですべて理解できる。過剰な演出が無いからこそわかる、俳優の凄さ。コリン・ファースは神の域へ（私見）
注意。本作にリアリティーを求めてはいけない。ファンタジーの世界。涙活やLGBTの勉強、老後の参考みたいな目的で見るとキョトンとしてしまうので、詩を読むくらいの穏やかな気持ち、僧侶のような心で見ると良さそう。この世界に、2人に何も求めてはいけない。
