虎舞羅ーコブラー

ある用務員の虎舞羅ーコブラーのレビュー・感想・評価

ある用務員(2020年製作の映画)
3.7
「蠢く陰謀、ヤクザ達の策略。混沌と化した学校内、熾烈な戦いの果てに、暗殺者の男は何を見出すのか――」

楽しみにしていた本作、U-NEXTで先行配信との事でレンタルし鑑賞しました。

「ハングマンズ・ノット」などで知られる若手監督、阪元裕吾さんが手掛けるサバイバルアクション。
邦画バイオレンス映画の新星若手監督とも呼ばれる阪元裕吾監督ですが、本作は彼の新しいスタイルを作り出した作品になったのではないでしょうか。
「ハングマンズ・ノット」でも度々見られた“不条理な殺戮とバイオレンスの応酬、そしてその中で描かれるブラックユーモア”など阪元監督ならではの作風は勿論、多種多様な殺し屋たちが繰り広げるアクションも魅力的。
ヤクザの娘を巡って学校内で死闘が繰り広げられるのですが、殺し屋たちみんな「クセがすごいぃ〜!」と言いたくなる程に個性が強いです。いかにも今風JKな殺し屋や、ただの連続殺人犯、そして話が通じないチンピラさん。主人公の用務員深見とは戦わず、殺し屋同士で殺り合ったり、また無関係な人も連鎖的に巻き込むのも阪元監督らしい作風で、相変わらずキルカウントが多いのが特徴でしたね…。
アクションでは格闘戦が主になるのですが、クオリティは充分高く満足できました。特にスタント出身の伊澤伊織さんと深見役の福士誠治さんの死闘は個人的お気に入りシーン。エルボーやハイキックなど、中々技術の高い技をスピーディーに打ち出すアクションには魅了されましたね。
そして終盤は哀愁漂う深見の唯への思いがひしひしと伝わり、彼なりの答えを見出す、深い印象を残すシーンでしたね。そしてエンドロールを飾るCrazy Boyの「アムネジア」も、深見の心情を表すメランコリックな歌詞が胸に刺さる素晴らしい曲でした。

ブラックなコメディ要素も楽しめる、オススメの一作。
まだ観てない方は是非!