空海花

戦場のメリークリスマス 4K 修復版の空海花のレビュー・感想・評価

4.6
次の映画館はこれでした。
21ブリッジとこれだけは絶対観たかった😌


4K修復版。
2023年に大島渚作品が国立機関に収蔵される予定で、その修復とのこと。
そのため今回が最後の大規模ロードショーとなる。

とにかく、やはり有名なテーマ曲
「Merry Christmas,Mr.Lawrence」を
劇場で映像と共に味わいたかったのが1番。

原作はローレンス・ヴァン・デル・ポストの『影の獄にて』収録の「影さす牢格子」と「種子と蒔く者」に基づく。
原作者のインドネシア・ジャワ島での日本軍俘虜収容所の体験を描いた作品。
カンヌ国際映画祭に出品され、グランプリ最有力と言われたが受賞は逃した。

紛れもなく戦争映画であるが
戦闘シーンは登場しない。
支配する男、される男たち、
戦時中の狂気は申し分ない。

申し分ないというと語弊があるか。
デヴィッド・ボウイ、坂本龍一、ビートたけし(北野武時代ではまだない)、内田裕也と俳優ではない配役
出で立ち、顔立ち、台詞の発し方はいずれもぎこちなく、不自然で
ある種の破綻さえ感じる。
だが、そこが大島渚監督の力業というか、陶酔してしまうようなシーンの数々に、戦争の狂気を見出してしまう自分がいる。
そこへ駆り出された男たちとは…

武士道、切腹、恥
イギリス人と日本人の精神との対比
ここには監督の批判精神をかなり感じる。

4Kとなって映像は綺麗に甦った。
台詞も聞き取りづらいところはない。
デヴィッド・ボウイの美貌と
坂本龍一の妖艶さはとにかく際立つ。
そして「変な顔だけど目はきれい」ビートたけしの演技は唯一無二であろう。
当初は全く違うキャスティングを考えていたようだが、巡り巡ってこのメンバーとなったのは運命を感じる。
個と全体。
狂った世の中で個はあどけないまま
忖度に埋もれていく。
たけしを見ていて、そんなことを思う。

ボウイと花のショット、
収容所の賛美歌、弟の歌声、
砂の中の美しさ
坂本龍一の卒倒
今観ると細かい部分がより確かなものとなり伝わってくる。
目眩く愛憎に心がざわざわと昂ぶった。

男同士の奇妙な友情
印象的なラストシーン、そしてあの曲。
映像とあの音色の融合は強烈で、
やはり唯一無二である。
「ローレンス!」その声が谺する。


2021レビュー#088
2021鑑賞No.146/劇場鑑賞#2


特典はハラ軍曹ステッカー🌺
ひとまず鑑賞できてホッとしました😌

国に収蔵されること自体は良いことだと思うけれど、もう簡単には映画館でかからないのは何とも寂しい😖
実は今回音量が物足りなく感じたので
爆音上映とかドルビー上映とか、
ソフト化も含めむしろもっと商業的にまわしてもらって、そのお金で文化を経済的に支えてほしいと思いました。
もっとベースの支えを切に願います🙏
空海花

空海花