あんず

三姉妹のあんずのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.4
『オアシス』のムン・ソリ、『愛の不時着』の北朝鮮人民班長役のキム・ソニョンが姉妹を演じると知って、観るしかないと。どちらの演技もすごかった。初めて見る三女役チャン・ユンジュも個性的で良い(衣装で隠れて分からなかったけど、トップモデルですごいスタイル)。さらにムン・ソリは、自分の娘を含め、次世代の女性たちが明るく、堂々と笑いながら生きていけるような社会になって欲しいという願いを込めて、共同プロデューサーにもなっている。

『はちどり』、『82年生まれ、キム・ジヨン』に続いて韓国の厳格な家父長制度の下での女性の生きづらさを描く、同時代の物語であり、私も時代錯誤な家父長制度が色濃く残る家で育ったので、いずれの作品にも共感出来た。

中でも、今回の『三姉妹』では、いつか私がやってやりたい(けど、出来ない)ことをやってくれる場面があり、自分以外にもこういうことを考える人がいるんだ、とすごく嬉しくて、私の代わりに敵討ちしてくれているようでスカッとした。でも、それをしたからって、みんなが分かり合えて家族仲良くハッピーエンドと単純にはいかないのが人生。救いがあるようで、ないようで……

しかし、三姉妹の胸のわだかまりは少し軽くなったように見えたし、きっとこれから三姉妹とその弟は強い絆で結ばれ、助け合って生きて行くんだろうな。私にも姉妹がいたらな~と羨ましく思った。私には弟がいて、たまに一緒に体験したトラウマ的な話をすると「そうだっけ?」と本当に忘れているのか、忘れたふりをしているのか分からないけれど素っ気ない反応で、辛かった過去を共有出来ない。彼は待望の男の子で、立場が違ったから私ほど嫌な経験はしていないのかもしれない。

とても良い作品だったので、久々にパンフレットを買った。この三姉妹を、勝手に心の中でオンニ(お姉さん)と呼ばせてもらって、何とか頑張って生きてみよう。


2023.5.7 WOWOW録画にて再鑑賞

子ども時代のトラウマが大人になっても尾を引き、いつまでも幸せになれない辛さ。親が思う以上に子どもは深く傷付き、その傷を忘れられない。
あんず

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