回想シーンでご飯3杯いける

三姉妹の回想シーンでご飯3杯いけるのレビュー・感想・評価

三姉妹(2020年製作の映画)
4.0
これも劇場公開時にノーマークで、現時点でサブスク配信は無し。というわけで、先日行ったツタヤでたまたま見付けた韓国映画だ。

タイトルから三姉妹の話である事は分かるけど、揃って画面に映るのは後半になってからだし、互いの関係性を説明するような台詞は殆どない。ソウルで生活する3人の悩みや衝突を、緻密な脚本と圧倒的な演技力によって、ただひたすら描いていく。共感なんて生易しいものは無く、正直に言えば自分の周りにいて欲しくないタイプである3人。それでも、目が離せなくなるのだから、いかに巧妙に作られた映画であるかという事が分かる。

3人とも電話の使い方が下手で、それが原因で周囲の人達との関係が険悪になる。でも、良く考えてみたら、撮影時は実際に電話の向こうに相手がいるわけじゃないんだよね。そう考えると役者魂が凄い。

終盤20分辺りでようやく大きな展開を迎えるものの、物語としての結果を必要とする人には不向きな映画だと思う。「オアシス」のムン・ソリを筆頭とする3人の演技派女優に心を搔きむしられたい人向けの戯曲的な作品だ。