ねこ無双

MAD探偵 7人の容疑者のねこ無双のレビュー・感想・評価

MAD探偵 7人の容疑者(2007年製作の映画)
5.0
設定は奇妙奇天烈なのに、タイトな刑事ドラマ。面白い。
主人公は犯人や被害者の行動を再現する事で、その内面にシンクロして、数々の難事件を解決した元刑事。人の人格が具現化して見える特殊能力を持っている。
ハンニバルシリーズのレッドドラゴンに出てくるグレアム捜査官と同じ能力ですね。神経が繊細過ぎて病んでしまう。

監督インタビューでもあったけど、主人公を演じている俳優さんが、親しみを持てるユニークなおじさんで、そのおかげで奇天烈な主人公を自然に受け入れる事が出来たと思う。
主人公と奥さん、バディになる刑事との食事シーンは温かみのあるシーンでした。
ユニーク過ぎて随所でツボってくすりと笑ってしまうシーンもあったり(トイレのシーンとかね)。

人格たちが本人にぞろぞろ付いて歩き回る表現ユニークでしたね。人格全員で口笛とか可愛い。7人の人格設定ですけど、それぞれ7人の性格が生かされて活躍するとかはないです。7人である設定は必然ではないんだけど、私はそれでいいんじゃないかなと思います。

奥さんの位置付けが難しかった。あれは主人公の別人格なのか、幻影なのか。奥さんとの結末はちょっと寂しかったです。

終盤、銃撃戦からのそれぞれの人格が写った鏡が粉々になるショット、銃を向け合う関係性とか良かったですね。上からの事の顛末を俯瞰する画が、笑えるような悲しいような。

以前教えて頂いた柔道龍虎房(ジョニー・トー監督)へのワンクッションで観ました。
ジョニー・トー&ワイ・カーファイ監督コンビの映画で自分の過去鑑賞作探したら、なんと金城武の恋愛映画を観ていました。それも味わいのある映画の記憶。