JunichiOoya

ボストン市庁舎のJunichiOoyaのレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
5.0
ウォルシュさんがバイデン政権の閣僚となり、彼の後を黒人の女性市会議員が継ぎ、そして今回台湾系女性が新たに市長就任。その経緯を知って見るこの映画は、撮影時にワイズマンが想ったそれとはいかばかりの違いがあったのだろう、あるいは違いなんて無いのかしら?

映画の中でも取り上げられていたオバマケアに代表される、福祉や共生を悉く排除し(実は排除される側の最右翼が自分たちだと、多分未だに微塵も信じていない支持者たちの投票によって選ばれた)トランプへの「否」が溢れ出る5時間(ちょっと誇張、でも休憩含むと概ねそれくらい)。

実は見る前はかつての『SHOAH』のように何かしら悪意の「やらせ」が含まれるのでは? と期待半分不安半分ではあった。
でも、同時代ということが大きく影響してるように思うんだけど、今回はひたすら真っ当な、生真面目に観察に拘りまくった、とても真面目な映画。(もちろんこれまでも真面目さは一貫してるけど、その表出のさせ方がやたら律儀ということ)

ところで…
ウォルシュさんに限らず、登場する皆さんがしゃべるしゃべる。文章じゃなく発話っていうこともあって繰り返しのしつこさも尋常じゃない。それを律儀に追い続けるカメラの執念に、途中から気持ちを改めてじっくり付き合いましたけど。

彼の国の会議は日本のそれと比べて極端に短いんだ。会議の長いのはアホ! みたいに言われるのが常だけど、あの調子でしゃべりまくれば会議は永遠に終わらないだろうな。

というか、彼らは議論や協議をしてるわけではなくて「スピーチ」「演説」してるわけですけど。まあ、日本の国会の代表質問と同じ体で、日本のそれと比べて、遥かに内容豊富、ということなんだけど。

ただ、情報量が多過ぎて私の惨めな英語力では理解できない流れもままあって、その辺りは一回の見物じゃ無理なのかも。(ふう〜っ)

今のところ、今年のマイベストテン、外国映画は間違いなくこの『ボストン市庁舎』ということになります。
JunichiOoya

JunichiOoya