スローモーション男

ボストン市庁舎のスローモーション男のレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
5.0
 4時間30分という長い上映時間のなかに民主主義の本当の意義がすべて詰まっていた素晴らしいドキュメンタリー映画でした!

 ニューヨーク州ボストン、ボストン市庁舎のコールセンターからこの映画は始まる。困っている市民の相談を役員たちが解決に向けて話している場面を観ただけで、これは凄いことだ!と感じました!

 ボストンは元々マフィアの街で治安が悪かったが2013年に市長に就任したマーティンウォルシュが市民と密接し、様々な改革をしたことにより問題が次々と解決されていきました。
 様々な人種の人々を役員として雇用し、意見を出し、市民の言葉を聞き街にスロープを作ったり食料を配給し、高齢者支援、保健衛生、結婚、などサービスを提供する。
こんなのは当たり前だが日本や他のアメリカの州ではできていないのだ!

この映画の監督はフレデリックワイズマンというドキュメンタリー映画の巨匠!御年91歳!!!
彼の作品を初めて鑑賞したが、テロップやナレーションもなく急に起こっている場面を観させられる。だがそれは印象付けしないようにしている。
その点、何が行われているか分からない部分もありました。

4時間半のうちボストンの様々な様子を伺えますが特に 
 同性愛婚の場面
 ホームレスについての会議の場面
 退役軍人の日の場面
 文化交流の場面
 駐車違反をした人を免除させてあげる場面
 防犯カメラで渋滞を緩和させる場面
 市民の家の衛生を職員が確認する場面
 長い話し合いの場面
 ウォルシュ市長のスピーチの場面など素晴らしい行いをしているとこは印象に残りました。

この映画は民主主義の可能性を最大限に見せてくれます。
ウォルシュ市長は最後に市を変えれば他の市も真似をして、いずれは国を変えることができると語っています。
実際、ウォルシュ市長は現在議員として国を変えようとしています。
トランプ政権によりアメリカが分断の危機に晒された時に、ボストンは人種や階級の壁を壊し助け合うことを誓いました。
行政とはなにか、福祉や人間性とはをもう一度考え直すことができると思います。

今年ベストです!!!
劇場でものすごい体験をしました!
4時間半の映画は初めて観ました。
(途中15分の休憩があります。)