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ボストン市庁舎のmasahitotenmaのレビュー・感想・評価

ボストン市庁舎(2020年製作の映画)
3.5
「ニューヨーク公共図書館 エクス・リブリス」のフレデリック・ワイズマンが監督・製作・編集し、2018年の秋から翌年の冬まで長期密着取材をして、アメリカ・マサチューセッツ州ボストンの市役所の業務を追ったドキュメンタリー。
多様な人種と文化が共存する大都市で、警察、消防、保健衛生、高齢者支援、出生、結婚、死亡記録、ホームレスの人々の支援、同性婚の承認など多岐にわたる公共サービスを行う市役所の舞台裏、市民の幸せのために奮闘する市長マーティ・ウォルシュと市役所職員たちの姿を映し出す。
原題:City Hall (2020、4時間32分)。

・民主主義
・反トランプ
・人種的平等
・貧困対策
・気候変動への対応
・対話による解決

「ボストン市から国を変えよう」

現場の下見をしないワイズマンのドキュメンタリーには、標準的な物語の構造やナレーション、インタビューは存在しない。
故郷のボストンが選ばれたのは、たまたま取材を受けいれてくれたのが、ボストン市だけだったから(外は全部断られた)と監督はコメントしている。
ボストン市長や市役所職員たちが市民のために奮闘する姿を、日本の政治家や役人と比べてほしい。
市民の声に耳を傾けるとはどういうことなのか、"対話"がよりよい社会作りのためにいかに大切なことか。
それに加え、市民が自分たちの権利、生活を守るために自己主張する姿は、不満があっても集団の中では押し黙って反論をしない多くの日本人といかに違うことか。
例えば、大麻を扱う店が出店することをめぐって、店のオーナーと犯罪の多発地区に住む地域住民が議論する場面をよく見てほしい(2時間以上あった議論が26分程度にまとめられているとの監督のコメント)。
民主主義の教科書/参考書としたいような映画だが、この監督の特徴とはいえ、やはり長すぎるのが難点。
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