映画大好きザウルスくん

レッド・スネイクの映画大好きザウルスくんのレビュー・感想・評価

レッド・スネイク(2019年製作の映画)
3.5
2021年劇場鑑賞4作目。
新宿バルト9で鑑賞!

今まで観てきた戦争映画は第二次大戦やベトナム戦争のような自分が生まれる前に起きた戦争を題材にしたものが多く、歴史を学ぶような気持ちで鑑賞していました。しかし、本作の題材はISISとクルド人女性部隊の戦いという解決しつつあるものの現在進行形の戦争でした。そのため鑑賞中はこれまでの戦争映画のように過去に想いを巡らすのではなく、現在この世界で現実に起こっていることに対する緊張感や不安感が込み上げてきました。戦争映画を劇場で観ること自体人生初の経験だったこともあり、この作品を観に劇場へ足を運んだことにはちゃんと意味があったと思います。

さて、本作へ対するメッセージ性はきちんと理解したうえで次は娯楽的な側面の感想です。本作は普通に女性の復讐アクション映画として観ても楽しめる作品となっています!

物語は序盤2つのパートで展開されます。家族をめちゃくちゃにされた主人公のパートと、女性戦闘部隊「蛇の旅団」に各国から集まった戦闘経験の浅い女性志願兵が訓練を通じて兵士へと成長していくパートの2つです。物語中盤で主人公がこの「蛇の旅団」に合流する形で2つのパートが重なり、終盤に待ち受ける「蛇の旅団」の総力を掛けた敵のアジト殲滅作戦に繋がっていきます。このストーリー展開には戦争の悲惨さを訴える以上に映画的な面白さがありましたね。砂漠や廃墟での戦闘シーンも迫力満点で恐怖とともにカタルシスも感じられる作りになっています。また普通の女性アクション映画と異なり、なぜ最前線で戦うのが女性なのかという理屈がしっかりしているのも話を飲み込むうえでポイントが高いです。

そして、主要キャラが戦死する場面はやはり心が揺さぶられますね(戦争映画では登場人物の誰かが必ず戦死するのでこれはネタバレではないと解釈してます)。しかもこの映画では若い女性兵士達の訓練シーンや日常シーンをそこそこ尺長めに描いているので、戦死シーンの悲しみは尋常じゃないのです…。

ここまでは褒めの意見でしたが、批判ポイントも多々あります。例えば民間人が虐殺されるシーンは、現実の悲惨さを伝えるためにもっと血を出した方がいいと思いました。『ランボー 最後の戦場』以降の作品として、この程度だと悲惨さが伝わり切らない感じがします。また先ほど褒めたストーリー構成ですが、先に主人公以外の訓練シーンを見せてしまったことによって、肝心の主人公自身の訓練シーンがカットされています。これだったらずっと主人公目線でストーリーを進めて「蛇の旅団」に合流したタイミングで訓練シーンや他の登場人物の話を広げた方が映画全体としてバランスが良かった気がしました。まあ個人的には主人公以外の登場人物の方が好きだったのでこれはこれで良かったのですが…。

僕の感想は以上です。日曜の昼頃に観に行きましたが、周りはおじさんばかりで僕と同じくらいの年代の方や女性はあまりいませんでしたね。公開規模が小さいので話題にも上がりにくいですが、観て損はない映画です!