コーディー

茲山魚譜 チャサンオボのコーディーのレビュー・感想・評価

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)
4.2
触れてきた書物や環境によって身につく知識=正しさは絶対ではなく、その外にこそ学びの喜びがある!
宗教弾圧により流刑となった学者が辿り着いた島で若き漁師と出会い、互いの学びへの欲が刺激される…。身分を越えた取引により深まる絆が海のように隔たりなき世界を願う。超好き!

いくら学ぼうとも慣例に従う権力に弾かれ、変わらぬ国を嘆く学者ヤクチョンが学びに飢えた青年との交流や素朴な島生活の中で生気を取り戻していく。書物がなくても人や社会、自然に習えば好奇心は満たされ知識と共に視野も広がる。反発していた学者と漁師が寛容さでもって捉えるモノクロな世界に光が宿る!

観る前はモノクロな韓国時代劇って事で難しめかな〜って思ってたけど、全然そんな事ない!思想や宗教、身分や男女で隔たりが起こる世界への憂いを説教臭さなく描いてて優しく心に響いてくる。
さすが『金子文子と朴烈』のイ・ジュンイク監督、現代に照らしてわかりやすく届ける、上品さと親しみやすさの塩梅も絶妙でした。

あとやっぱ自分はソル・ギョングに弱いw白黒の陰影に映える彼の演技、表情に超泣いたし、ビョン・ヨハンとの繊細な交感もとても美しい!そして『パラサイト』の家政婦役が強烈だったイ・ジョンウンもめちゃくちゃ癒しな存在感で笑いと涙を誘う!
いやいや予想以上に良くて、結構泣くの堪えてました。