韓国映画。KBCテレビで宣伝していたので、イチオシと言う事なので鑑賞。
『茲山魚譜 チャサンオボ』とは、19世紀初頭に作られた、魚類図鑑の事。魚類の他に、貝類、甲殻類、藻類など多岐に綴られている。
ほぼ全編がモノクロで撮られており、夜間撮影の陰影のある月と叢雲が、凛としていて美しい。また、昼間に於ける鮮明な魚介類の描写も、モノクロであるからこそグロテスクには映らない。また、韓国料理が旨そうでもある。
粗筋はフィルマ、上記にて宜しくお願いします。
予告編だと、芸術的な歴史絵巻かと思っていたが、意外に平明で分かりやすいストーリー展開。なのでオススメ。
喜劇的なところがやや、安っぽくてテレビドラマ的だが、夜間撮影のところは深遠で、宇宙的な真実を描いている、求めている感じ。この辺りは高名な学者の視点かな。
高潔な師弟関係、若者の成長物語としては黒澤明監督の『赤ひげ』(1965)、秀才の旅立ちの物語としてはガス・ヴァン・サント監督『グッド・ウィル・ハンティング』(1997)に近いレベルに達していると、思う。
主人公の学者役のソル・ギョングと、アタマのいい漁師の役のピョン・ヨハンの配役が良くて、脳内で勝手に、九代目松本幸四郎(松たか子の父)と、若い頃の萩原健一(ショーケン)の共演かと楽しんだ。また、他の俳優たちも魅力的である。
青い鳥だけが、カラーで映されるところは、同じく黒澤明の『天国と地獄』(1963)の演出を彷彿とさせる。他には、夜の深さとか直訴の場面の切実さは、やはり、溝口健二的である。
シネフィル?のオイラとしては、ラストのカラーは余分だと思う。
今の日本の映画監督も、🌟黄金期の日本映画🌟をもっと勉強して、高みを目指して欲しい。