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茲山魚譜 チャサンオボのsarahAのレビュー・感想・評価

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)
4.3
地味な史劇だし、モノクロだしとちょっと心配してたけど、史劇ドラマ好きにはこたえられない超とんでもない名作だった。
ピョンヨハン好きは「六龍が飛ぶ」も見るべし!
原作本「黒山」も翻訳されてるらしい。자산어보そのものも読んでみたい。

以下、観ながら書いたメモ。

丁若銓(チョン・ヤクチョン)」が流刑中に島の青年漁師「昌大(チャンデ)」に助けを借りて、魚類図鑑である『茲山魚譜チャサンオポ』を執筆する過程を描いた作品。

チャサンオボ; 朝鮮語: 자산어보(玆山魚譜)、しざんぎょふ)は、朝鮮王朝時代後期・英祖–純祖当時の学者である丁若銓(チョン・ヤクチョン)が、1801年(純祖元年)の天主教迫害事件である辛酉迫害の際、全羅道黒山島に流配され、1814年(純祖14年)までの流謫生活中に[1][2]、この地域の海上生物について分析し、編纂した海洋生物学書籍

丁若銓(チョン・ヤクチョン)←映画の主人公
丁若鍾(チョン・ヤクチョン)
丁若鏞(チョン・ヤギョン)←俳優チョンヘインの祖先

1801年の天主教弾圧事件(辛酉教獄)で長兄丁若鍾は杖殺され,次兄の丁若銓は黒山島,丁若鏞は全羅道康津に流配

流刑と言っても人の住む島。ここで寡婦カゴの家に若銓は住むことになる。
カゴ「もてなすなと言っても国には罪人でもうちには客人だ」と早速ガンギエイの刺身。

ローマ教皇が先祖の祭祀(ちぇさ)を禁じる
→これのせいで多くの人が殉教したと思うと、本当にカトリックは罪が深い。

流刑中に弟は牧民新書など五百冊を
兄は魚図鑑や漂流の話を書く

性理学を教養とするのは過去、そして支配者のための学問
西洋学は進化発展のための学問

🌟夜の海に満天の星。地球の自転で星が回るシーンが美しい
昌大「西洋人は地球が丸いと知りつつ神を信じている。そして私も生理学を知りつつ西洋の学問を受け入れた。ともすれば己がよく見えてくる」

カゴ「先生も同じなんですね畑より種子が大切だと思っていることです。一体何を学んでいるんだか。種を持つ父が1番で産んだ育てる母は二の次?
昌大「種子が万物の始まりなのは自然の摂理だ」
カゴ「種だけで何が出来る?畑が良くなきゃ目が出ないし土壌が悪いと育たない。子供は母親を敬うべきだし男も女を大切にしなきゃ」
先生「カゴさんから学ぶことがたくさんあるな心優しいだけでなく許蘭雪軒ホナンソロンに劣らず利口だ」

そうこうするうちにカゴさんまさかの妊娠!

康津の茶山草堂(タサンチョダン)
康津湾を一目で見ることができる萬徳山の麓にある茶山草堂(タサンチョダン)は、朝鮮時代後期に実学を会得した丁若鏞が流罪に処されて暮らした場所です。「茶山」とは康津橘洞の後方にある山の名前。丁若鏞が1801年、康津に流罪になって18年余りを過ごし、「牧民心書」「経世遺表」など約500冊の本を執筆し、朝鮮時代の性理学の空想的な発想を実用的な科学思想に基づいて研究するように導いた場所

「絶句」とは「四句(四行)で構成される漢詩」のこと。「絶句」は詩全体が四つの句で構成されているものを指し一句の語数が五つのものを五言絶句、七つのものを七言絶句と呼びます。
「絶句」は起承転結の四句で構成されます。
最後の一文字の音をそろえる「韻」などの技法が用いられ、意味だけでなく声に出して読んだときのリズムや調子も誌の出来栄えに関わる重要な要素となっています。

「律詩」は二句を一組とする起承転結で構成するのが基本です。絶句よりも句数が多いので言葉の数は増えるかわりに冗長になりやすいというデメリットもあることから優れた律詩を作るには簡単ではないと言われています。
文字数は一句の語数が五つの五言律詩、七つの七言律詩が一般的です。

兄の使いで弟に会いに行き、いきなり詩を読まされる漁師!

「私が願うのはヤンバンも庶民もない世の中だ。王子すら必要のない世界だ。だがそんなことを本に書けば私だけでなく家族まで殺される。どの学問であれ良いものは使うべきだ。私は生理学も天主教も受け入れたが、この国が私を拒んだ」

昌大に学才があることが伝わり、今まで放置していた父が迎えにくる。弟チョンヤギョンも流刑を解かれる。小科は合格し進士(チンサ)、次は大科を目指すが、まずは長官の元で学べと父に言われ、長官の元へ。しかし賄賂を送ったり米に砂を混ぜたり、死人や赤子にも税を課す腐敗しきった役人の世界に嫌気が差し、結局島に戻る。しかし既に師は本を書き終え亡くなった後だった。

ラストシーンが見事。青い鳥。青い海。

http://www.kirishin.com/2021/11/19/51548/


映画に出てきた通訳は文淳得が元?
漂着民,文淳得ムン・スンドゥクの漂流記「漂海始末」

金薫の原作『黒山』では、朝鮮本土と黒山島を行き来する帆船の船主として文風世という人物が登場するが、映画『茲山魚譜-チャサンオボ-』では代わりに文風世の主要なモデルとなったであろう実在のエイ漁師・文淳得(ムン・スンドゥク)が登場する

https://christianpress.jp/51548/
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