柳之貓

茲山魚譜 チャサンオボの柳之貓のレビュー・感想・評価

茲山魚譜 チャサンオボ(2019年製作の映画)
4.2
日本では明治時代くらいに当たるのだろうか。
この頃の朝鮮は、金玉均など政争で弾圧された知識人の悲劇が珍しくなかったようだが、それでも理想主義を願う人たちの高尚な精神性が作品の根底に流れていて、良い作品だった。

素朴ながらも豊かな自然が描かれていて、中央政府から追われた超エリートが、新たなる知見を得て活路を見出すのは、都会人が田舎に対する憧れの様なものを肯定する一面もあり、共感を覚えやすいものだろう。
人間の成長や変化が丁寧に描かれているため、ストーリー進行はゆっくりで、長く感じられたのは事実だが、決してつまらなくはなかった。いわゆる文芸作品というやつだ。

一部気になったのが、役人が完全なる悪として描かれていたところ。その時代は実際にそうだったとしても、アイコン的で深みが感じられなかった。
詩作のくだりは、正直ベタな流れだったけど、カタルシスを感じたのは事実だから、まぁ良いかな。

一貫して、人はどうあるべきか・真の知とは何かと言った、いつの時代にでも通用する問いかけのようなものがあり、いい物語を読み終えたような充足感が残る、良質な歴史映画だった。