茲山魚譜 チャサンオボの作品情報・感想・評価 - 2ページ目

「茲山魚譜 チャサンオボ」に投稿された感想・評価

プー

プーの感想・評価

4.2
近海に欧米の船がうろうろしはじめた朝鮮王朝後期、黄海寄りの孤島に島流しにされたキリスト教背教者の高官と漁師の青年の交流から生まれた魚類総覧書の話 今年見た中でいちばんたくさん海の生き物が出てくる(そして食べられる)映画だった エイにイカにタコにタイにサメにムツゴロウ

西洋文化と中国古典の衝突、日本の脅威、琉球や呂宋国の存在感など、モノクロで描かれる小さな島の話ながら当時の朝鮮をめぐる情勢が浮かび上がるし、国政と地方行政の腐敗が主役二人それぞれの身の回りに描かれて鮮やかだった そしてキリストのように漁師を弟子にする話だった

ヤクチョン先生がチャンデ青年から聞き取る魚介類のエピソードがいちいち面白くて、そんな観察しながら魚取ってたんかと思うし、二人で船に乗って魚を釣るところはロマンチックかつ寓話的 成長したチャンデがお寺で漢詩勝負に挑む場面はさわやかで美しかった モノクロなのに色鮮やかな映画だった

なんのための政治、なんのための学問かという芯がしっかり通っていて、かつ、ひたすらタコのスープやアンコウ鍋やエイのさしみが美味しそうなので、モノクロで命拾いした カラーだったらまっすぐ魚介食べれる店に突入してた

強く深く主題を掘り下げた歴史劇のよさと、学者と漁師のワクワクおさかな天国の楽しさが交互に甦って情緒がめちゃくちゃになる
bellevoile

bellevoileの感想・評価

4.0
宗教弾圧で流刑になった学者ヤクチョンと、向学心に燃える若い漁師チャンデの交流から生まれた海洋生物学書「茲山魚譜」の物語。

年齢や身分を超える知識の交換を通し、学ぶことの奥深さと現実を知る残酷さを、意外なほどのユーモアを添えて人間と時代を描く。

信仰を捨てることなく最果ての島まで来たものの、学ぶ生きがいを失ったヤクチョンが島の素朴な人々と交流し、新鮮な魚介を口にするうちに元来の旺盛な好奇心から生気に満ちてゆく繊細な演技はさすがのソル・ギョング。

むしろ本作は若く貧しい島の漁師、チャンデの青春物語として秀逸だと思った。
身分が低く科挙も受けられない彼が、官職について国民に尽くしたいとの思いから勉学に励み、ヤクチョンとの交流から学び、遂にたどり着いた場所で目の当たりにしたもの。それは現代に生きる我々が日々直面する腐敗と大して変わらず、200年もの時を経ても豊かさと幻滅は地続きなのだと思うと感慨深い。

モノクロ&パートカラーの画面には映し出される情報がギュッと凝縮されており、同時に余白の豊かさを感じた。
時代劇という特性のせいか、カラーで描かれるより何故だか「今」との時の繋がりを感じる不思議な感覚に陥った。色がない分、光と闇のコントラストが生々しく美しい。

モノクロ、時代劇、なんならタイトルの発音も怪しい…けどスチルに惹かれて足を運んだ自分をほめたい。スルーしなくてよかったと心から思う素晴らしい映画でした。

意外にもソル・ギョングにとっては初の時代劇だったそう。「この魚は…!」と目をキラキラさせるソル・ギョングがまた味わい深い…。
あさの

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3.5
いま当たり前なことが、当たり前になるまで、どれだけの人が犠牲になったんだろうか。深堀するには時間が必要だなあ。
6060

6060の感想・評価

3.8
誰と一緒に、誰を友として
何を、何の為に学ぶのか。
徒に深刻にならず、ただ、
真っ直ぐ伝わってくる。
今年最後の「映画の日」の2本目は韓国映画🎬
でも、恋愛ものでもないし、アクションものでも無く、歴史もの。

中国が近代に入って停滞していたのは朱子学が一因、と世界史で読んだ記憶があるが、中国の強い影響下にあった朝鮮半島でも同じだったことが伝わる作品。

流刑の島での生活はまだ明るく描かれていて、本土での生活は悲しい。
法が守られず、守る立場の役人達が勝手に変えて、働く人々から収奪する社会がなぜ続いたのか、考えたくなる作品。

また、同じく朱子学を江戸時代に導入した日本が、中国や朝鮮とは違う社会に進んだ訳も知りたくなる。
モノクロの美しい画面から、朝鮮の辺境や市井の人々の生活が、生き生きと、そして悲しく描かれた作品だと思います。

一見の価値あり👍
Koji

Kojiの感想・評価

4.2
第42回青龍映画賞の受賞式で脚本賞などいくつかの賞を受賞したことで知り、現在公開中ということで予備知識0で急いで観てきましたがとても素晴らしかったです。モノクロの歴史ものなので心配していましたが、お話もわかりやすく感動だけではなく笑もあり中盤まではもうずっとニンマリしていました。
モノクロですが撮影照明賞を取っただけあり映像も本当に良いので映画館で鑑賞することをお勧めします。欲を言えばもっと大きなスクリーンで観たかったです。本当に素晴らしい映画なので多くの人に観て欲しい作品です。
momo

momoの感想・評価

4.3
期待してました。

けど、期待超えてきた!

わかりやすく軽妙なストーリー、

しかし、考えさせられるテーマ性、

重厚な映像美、と俳優陣の演技、

素晴らしい作品です。

たくさんの人に見て欲しい、上映館が少な過ぎるのが残念。
hasema

hasemaの感想・評価

4.0
モノクロの映画はここのところ、当たりが多いように思う。「ROMA」「ライトハウス」もモノクロならではの世界だった。なぜだろうか、何度も映画のシーンを思い出すのはモノクロの映画なのだが。

実話に基づいているらしいが、どの国にもどの時代にも志の高い人は存在して、苦労して一生を全うしたのだなと思う。

真面目な題材だが、脱力系のユーモアの差し込み方も緩急があって飽きさせない。
そこに貢献しているイ・ジョンウンが個人的には下世話であったかくていい女優だなあと思った。
くろお

くろおの感想・評価

4.1
1800年代のお話で全編モノクロ、シリアスな見た目ながらしっかり笑いどころがあるのが韓国映画の良いところ。

ソル・ギョングはやっぱいつ観てもいいなぁ。島流しにされた彼と弟子が互いに学び合っていくシーンはキラキラしてて(モノクロだけど)、ずっと観ていたい。

階級社会や師弟の絆も描かれるけど、根本的なテーマは知識と学ぶ事。
「偉い学者が説く哲学も漁師だけがしってる魚の知識も同じ事」っていうのに痺れた。
ビオラ

ビオラの感想・評価

4.2
良かった・・としみじみ思える映画。

官職にありながら天主教(カトリック)の信仰を持つことで
罰せられる主人公。
3兄弟のうち殉教を選ぶ次兄と違い、生きるために棄教を選んだ主人公。
真理と真実を追い求める彼の真髄がここに表れる。

「沈黙」の宣教師も静かに棄教して生きながらえる。
果たして信仰を曲げないと意地を張ってこの世で裁かれることが美しいのだろうか。私は、もし踏み絵を差し出されたら、大きな顔して踏んづける。
だからこの主人公の生き方には共感し、これから歩む糧になる。

生きてこそだ、と彼は言う。
表面上は棄教したが、その信仰は失われてはいないことを、
弟子との船上でのやりとりが表している。

心に秘めた真実の生き方を貫くからこそ、愛している弟の成功した生き方にもnoを突きつける。非難するではなく、自分とは違う、と凛として。

ソル・ギョングは猟奇的殺人者から、子をなくした哀れな父親まで、どの役も自分のものにして演じきる素晴らしい役者。彼の主演作は間違いない、と思うほど。

ピョン・ヨハンはミセンでの変わった同僚役が印象的だが、その後意外な汚れ役も目にした。今回の昌大役、利発そうな青年から出世を策略する狡猾な顔、理想とのギャップに苦しむ苦悩、と徐々に大人になっていく一人の青年の姿、素晴らしかった。

有名な俳優陣とモノクロの世界に、真理とは何かと突きつけられた作品。
美しく切ない物語に涙を禁じ得ない。

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