Ayakashd

マルコム&マリーのAyakashdのレビュー・感想・評価

マルコム&マリー(2021年製作の映画)
3.8
うーーーーん!!ミニマルで計算し尽くされたモノクロの映像が素晴らしい。俳優の映し方、画角、部屋の構造をダイナミックに活用したカット、完璧なタイミングで完璧な音楽、すごい頭良いなって思いながら見た。
ベッドルーム、ベランダ、リビング、キッチン、バスルーム…すべてがシーンごとにとても有効な舞台になってて、いやー頭良い。
我らがQueen Zendayaのミューズぶりよ。彼女とジョンデヴィッドと二人しか出てこない潔さ、の中で二人それぞれに映画を背負った演技の凄さ。二人ともすごい。
繰り返し、ぶり返す口論を通じて起きたことが徐々に明らかになるプロットは目新しくはないが…また始まった…っていうexhaustingな感じも含めて映画だったんだろうな。
男女の極めてパーソナルな関係に深く深くダイヴしながら、産業の特権構造にも率直な批評を加えてみせる脚本。二人のそれぞれのperspective から加えられる皮肉や批判を聞いてると、今の世の中、どの立場から見てもクリーン、ってことってありえなくて。だから、この二人と同様にどん詰まりなんだなと思ったり。全てのイシューがアイデンティティ闘争になるこのご時世、立場がなんらかでも違う限り、他人同士がすべてのイシューで合意できることなんてありえない、という、そのメタファーでもあるのかしら。
大変、大変。
しかし、それでも愛してるっていったいどんなことなんだ。
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