梅ちゃん

ラン・ハイド・ファイトの梅ちゃんのレビュー・感想・評価

ラン・ハイド・ファイト(2020年製作の映画)
3.7
軍人の父にサバイバル術を仕込まれた女子高生 vs 突如高校に乱入したテロリスト達の戦いを描く。

現代アメリカの社会問題である、コロンバイン高校銃乱射事件に代表されるスクールシューティング を題材にした作品。タイトルの通り、劇中の主人公はギリギリの状況下で『逃げるか』『隠れるか』『戦うか』という究極の選択を迫られる。

主人公のゾーイがダイ・ハード宜しく、単身テロリストチームを撹乱しつつ、一人一人仕留めてゆく様は、単純にアクション作品として楽しめます。


以下、ネタバレですよ。


一旦校外に出たゾーイが、勇気を振り絞って死地に舞い戻るシーンは、ソン・ガンホの『タクシー運転手』を思い出しました。極限の状況下でとられる利他的行動はホントに尊く、涙が出てきます。

物語のポイントが置かれたのは、ゾーイの精神的成長。序盤から母親の死を受け入れることができないゾーイは、母親の幻影と会話をしているが、序盤の母親はどうやら闘病中なのか力ない姿。そして物語の進展に伴い、ゾーイの中に生気が漲ってくると、それに同調するかのように、母親の幻影も徐々に元気なときの姿に近づいてゆく。そして元気だった時の母親の幻影に別れを告げることで、ゾーイは母親の死を受け入れることが出来て、新たな一歩を踏み出せるようになった様に感じました。そして、物語の一番最初と一番最後の、仕留めた獲物への止めの動作比較が興味深い。これはゾーイの確かな成長を表していると感じられます。

ゾーイの父親が、娘のピンチにテロリストの一人を狙撃して倒したシーンは、数多いるスクールシューティングの被害生徒の親御さん達の願望を、代わりに叶えた展開だったのではないでしょうか。親御さん達は自分の子供達をどれだけ助けたかったか、その悲しみは想像もつきません。