ノラネコの呑んで観るシネマ

クー!キン・ザ・ザのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

クー!キン・ザ・ザ(2013年製作の映画)
3.8
旧ソ連時代のカルトSF「不思議惑星キン・ザ・ザ」を、ゲオルギー・ダネリヤ監督自ら、アニメーションでセルフリメイクした作品。
チェロ奏者のおっさんとDJ志望の若者が、キン・ザ・ザ星雲の砂漠の惑星プリュクへ転送されてしまい、地球へ帰るため悪戦苦闘する。
これは2013年の作品だが、舞台は80年代から21世紀に移され、細かな設定は変わっているものの、基本的には同じ話。
釣鐘みたいな宇宙船とか、特徴的な美術も踏襲されている。
オリジナルは、ディストピアな世界観が、旧ソ連の全体主義体制を揶揄したものと言われていた。
現実を風刺した作品なのに、30年後に作られたリメイクでも、同じ世界観が成立しちゃうのがある意味すごい。
共産党独裁がプーチン独裁に支配者が代替りしただけで、権威に盲従するロシア社会は変化してないということか。
まあ変わらないのはロシアだけじゃないから、あんま人のこと言えないけど。
アニメーションとなったことで、カリカチュアが効き、上映尺も大幅に短くなっている。
映像的なクオリティは高いが、一方であの時代の実写ならではのチープさが失われたのは、いいことばかりではないと思う。
旧作もリバイバル中なので、観比べるのもいいかも。