ノラネコの呑んで観るシネマ

アメリカン・ユートピアのノラネコの呑んで観るシネマのレビュー・感想・評価

アメリカン・ユートピア(2020年製作の映画)
4.8
素晴らしい!
デヴィッド・バーンが18年に発表した同名アルバムを元に、ブロードウェイで上演したショウを、スパイク・リーがドキュメンタリー化した作品。
また皮肉っぽいタイトルだなと思ったが、映画を観て驚いた。
これは本当に、まだ見ぬユートピアを求めるバーンの、いやアメリカの遠大な旅を描いた作品だった。
冒頭の脳の話から始まって、選挙登録やBLMムーブメント、最後には失われた人間同士の絆へと、単なる音楽ショウではなく一つの壮大なストーリーを形作る。
舞台は簾の様なカーテンがかかっているだけで、何も置かれていない。
性別も国籍も人種も異なる、バーンと11人のパフォーマーは、舞台と同系色の明るいグレーの衣装を着ているのだが、この色は照明によって、青っぽくも、赤っぽくも、何色にも変化してゆく。
タイトルの、上下逆さまになった「ユートピア」が示す様に、アルバム発売時にはトランプへの皮肉が先行していたのだろうが、昨年の大統領選挙直前にリリースされた本作では、「絶望してるヒマはない」とばかりにエネルギッシュに希望を歌い上げる。
70になろうとしているバーンお爺ちゃんが、カッコ良すぎて泣けてしまう。
オリジナルのショウを生で観たかった!
ブログ記事:
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