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DC がんばれ!スーパーペットのtetsuのレビュー・感想・評価

4.0
『ペット』を観て、久々に本作を思いだし、鑑賞。

スーパーマンを守るため、共に地球にやって来た犬の相棒・クリプト。しかし、スーパーマンに恋人が出来たことで、かまってもらえず、寂しい気持ちになってしまう。一方、ペット預かり所でスーパーパワーに目覚めたモルモットが暴走。同じく、力に目覚めたペットたちとクリプトはチームを結成するが……。

老若男女が楽しめる王道のヒーローチーム映画でありながら、アメコミファンにはマニアックな小ネタが楽しい隠れた名作。

不死身の犬・エース、サイズを変えられる豚・PB、高速で走るカメ・マートン、電気を操るリス・チップといったメインキャラクターに加え、兵器化したネコや炎や氷を使うモルモットなど、過去のヒーロー映画を彷彿とさせるスーパーペットの設定がたまらない。

また、本作独自の"ジャスティス・リーグ"や名悪役が登場するほか、街の看板の"CATS"が"CAT WOMAN"になっていたり、DC世界のマルチバース(アース1、アース2といった呼称が使われている)をおちょくったネタがあったり、クライマックスで『ウォッチメン』(同じくDCコミックが原作)のネタをぶちこんできたり、MARVELのパロディがあったり……。

監督が『レゴバットマンーザ・ムービーー』の脚本に携わっていたジャレッド・スターンさんということで、作品のワクワク感には通ずるものがあった。

また、主人公・クリプトとゲストキャラクターの3役で声優を担当し、プロデューサーも兼任しているドウェイン・ジョンソンさんの存在が大きい作品でもある。

本作に続いて公開されたDC映画『ブラック・アダム』では彼が主人公を演じており、興業不振に陥った"DCEU"(DC映画シリーズ)を再興する可能性もあった。

当時はスーパーマンとブラックアダムが対決する構想もあったとのことで、彼がシリーズの中心となっていれば、本作はその前哨戦となり、新たなプロジェクトの基幹となる一作だったのかもしれない。

結果的にDCECは事実上の打ちきり、ジェームズ・ガン監督による新たなシリーズが製作されることになったため、ブラックアダムは退場。

これにより、公開当時に企画されていた本作の続編も実現することは難しくなってしまったが、果たして、ドウェイン・ジョンソンさん主導のDCEUが実現していたら、どうなっていたのだろうか……。

そんな思いに耽ってしまうほどには、単作としての満足度が高いDC映画だった。


参考

「DC がんばれ!スーパーペット」“史上初のアイデア”誕生秘話 ドウェイン・ジョンソン「注目に値する」 : 映画ニュース - 映画.com
https://eiga.com/news/20220820/4/
(製作の大きなきっかけとなった監督の実体験が興味深い。)

なぜドウェイン・ジョンソンはDCユニバースのヒエラルキーを変えられなかったのか? | THE RIVER
https://theriver.jp/dwayne-dc-hierarchie/
(ドウェイン・ジョンソンさんのDC構想についてはこの記事が詳しい)

【ネタバレ解説】「DC がんばれ!スーパーペット」はアメコミファン必見の作品だった! トリビアを紹介 : 映画ニュース - 映画.com
https://eiga.com/news/20220907/10/
(日本アメコミ界の重鎮・杉山すぴ豊さんの安定の分かりやすい&マニアック解説。必読。)

Dwayne Johnson Teases DC League of Super-Pets May Launch a Franchise
https://www.cbr.com/dwayne-johnson-dc-league-of-super-pets-universe/
(この記事で紹介されたドウェインさんのSNS投稿によると、ブラックアダムとスーパーペットという2つの軸で壮大なユニバース構想があったことが窺える。)
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