カイ

クライ・マッチョのカイのネタバレレビュー・内容・結末

クライ・マッチョ(2021年製作の映画)
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このレビューはネタバレを含みます

人生の黄昏に臨む老人と、誰も信じることが出来ない孤独な少年のバディ映画であり、メキシコからアメリカへ向かうロードムービーでもある。劇的な事が起きる訳ではなく、二人の交流の中で、老人は自分の「男らしさ」を顧み、少年は自分の未来を想う。老齢に入り、人生の幕引き、死に様、けじめの付け方で自作を物語ってきたイーストウッドだが、今作では穏やかで温かみのある終幕を採用している。「どこまで続くかわからないが、やってみよう」と。誰もがイーストウッドの映画に彼自身の生き様を重ねる。であるならば今作もまた、今の思いが込められていると思う。決して大仰ではないが、自戒を込めた場面の数々。料理を振る舞い、絵本を読み聞かせ、そして傷付く少年に「終わり方」を見せるのではなく、ただただ懇懇と寄り添い続ける。暴力の末路も、自壊もここにはない。遥かに時間は掛かるが、そうでなくてはラフォの心を変えることは出来なかっただろう。国境での二人の掛け合い。「俺に会いたければ、場所はわかるだろう?」マイクもまた、自分の人生を選ぶ。一度は背中を向けた新しい人生で二人踊るラストがじんわり沁みる。さらば永遠のカウボーイ
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