ジャン黒糖

レミニセンスのジャン黒糖のレビュー・感想・評価

レミニセンス(2021年製作の映画)
3.4
お話は地味で起伏が少なく、おまけにヒュー・ジャックマンの心地よいイケボによるナレーションが眠りへと誘う、、笑
ただ、これが全くダメな映画かというと、個人的にはきらいにはなれない要素もある、SF色濃いめながら見事なノワールとなっていた!!

【物語】
過去の記憶を遡ることのできる近未来、海に沈むマイアミを舞台に、記憶潜入≒レミニセンスのエージェントとして働くニックはある日、鍵を無くしたという女性メイの記憶に潜入する。
彼女は、彼の追う事件のカギを握る人物でもあった…。

【感想】
まず、海面上昇に伴い荒廃したマイアミの風景、街並みが退廃しているにもかかわらず、何処か美しさも醸し出していて、私的にはノワール映画のポイントの一つ、街並みの色気があってよかった。

次に、主人公ニックにとってファムファタールとなるメイを演じるレベッカ・ファーガソンが見事という他ないほど、綺麗すぎて本当ニック同様、惚れ惚れしてしまった。
主人公にとって重要なファクターとなり、振り払っても振り払えない、文字通り取り憑かれてしまうほどの魅力を持った女性、として申し分ないでしょ。

そして、そんな彼女との過去に取り憑かれてしまう男ニックの切なさを帯びた、注釈付きで彼なりに“幸せ”なラストには、「これぞノワール!」的な魅力があり、個人的には好物のオチだった。
ヒュー・ジャックマンという俳優は、何かしらファムファタールであったり、夢であったり、他に代替できない生き方だったり、何か一つの考えに囚われてしまった時の恍惚とした表情が個人的には印象に残っており、そんな表情が最大にポップに描かれたのが『グレイテスト・ショーマン』だと思う。
あの映画では誰も観たことがないサーカスを実現すべく奮闘するP・T・バーナムが夢に向かって屈託のない笑顔を見せるのが印象的だったが、ぶっちゃけあの映画における主人公の身勝手な行動が鑑賞当時、理解できず、、特にラストシーンは開いた口が塞がらない状態だった、、、、
それに比べると、本作におけるニックの、メイに惚れてしまった姿、彼女との過去に取り憑かれてしまった姿はとても似合っていた。


という訳で、ノワールの個人的なツボ、①街並みがエロい②ファムファタールが説明不要に魅力的③主人公の男が何かに取り憑かれてしまっている、の3つを見事押さえてくれているので、決して嫌いになれない映画だった!!
と終わりたいところだけれど、冒頭挙げたように、いかんせんお話の進行、会話劇、ナレーションが地味すぎて眠りを誘われてしまったのは事実で、途中何度も再生し直してしまった。。。

ちなみに、ブルーレイの特典映像についてくる、この海面上昇したマイアミを作り上げるためのメイキングは見どころが多く、なるほど!と感心してしまった。
世界観が良かったと思った方はぜひ、サブスクではなくブルーレイでご鑑賞あれ!
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