このレビューはネタバレを含みます
居心地の悪い苦手な作品だった。男の生まれ変わり話を映画化するためにボスニアを訪れるのはよしとしよう。また、劇中のカメラマンが撮影する映像が、そのまま本作の映像になっている入れ子構造も作劇の工夫ではあるだろう。
とはいえ、撮影隊一行で闇雲に墓場を回ったり、カフェに入ってセルビア人の店主と険悪な雰囲気になったり、現地の人の会話をまともに通訳しないあたりはなんとも居心地が悪い。
さらに、生まれ変わり話がヨタだったと認識した後、墓石を用意し、旧知の老女から聞いた話の断片をつなぎ合わせて、解体業者や養蜂の老女を訪れる展開も苦手。もちろん、ここで登場する荒涼とした丘陵の風景や、スラブ系の顔つきをした二人の老女のたたずまいは素晴らしいが。
全編を通じて、アデル・エネル姐さんの不機嫌な表情ばかりが記憶に残ってしまった。また、録音の人は出演場面が多いけど、カメラマンはついに一度も姿も声も登場しない。