Nasagi

ソレ・ミオ ~ 私の太陽のNasagiのネタバレレビュー・内容・結末

ソレ・ミオ ~ 私の太陽(2019年製作の映画)
4.0

このレビューはネタバレを含みます

手術を翌日に控えたトランス女性のリザは、4年ぶりに息子に会いにいく。

とてもよかった。
上映時間が短くても、うまいこと引用を使えば話に深みが出るという好例ではないだろうか。

「リザ」であることと、「父」であることとの可逆性がギリギリあるタイミング。
もう本人はリザとして生きているけど、息子との仕事中は一人称が「父さん」に戻る。トランシーバーから聞こえてくるのは、昔からの思い出の曲だったであろう『オー・ソレ・ミオ』を高らかに歌いあげる父の歌声。
しかし、その後に訪れたパブでは、リザは衆人の前で歌うことを躊躇する。彼女にとって、もうこの「声」は自分のものではないと感じている。
流動性のあるジェンダー観、そこで生じる声と身体との表象のズレ。

最後は心残りから手術へと向かう列車に乗ることができなかったリザだが、かといって女性として生きることをやめるわけではないだろう。この後、親子の関係はどうなっていくのだろうか。難しい…
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