♪ 唾液を垂らしてくれ 尊敬に値する
たっぷり流してくれ
あなたも溶けたいでしょう
アー ギヴ ミー チョコレート
アー ギヴ ミー チョコレート
正直なところ、ナメてました。
『チャーリーとチョコレート工場』の前日譚と聞いてたので、ティム・バートン監督の作品が念頭にあったんですよね。予告編ではファミリー向けの匂いがプンプンするし。
「これは大コケするタイプッ!」
なんて勝手に判断していたんですが…激辛のフォロワーさんがベタ褒めしていたんで、興味本位で鑑賞してみたところ…。
スイマセン、完全に大好物でした。
夢や希望や想像力を否定せず、寧ろ、全肯定の甘ったるい物語。でも、その甘さに超超超真剣なんで、鳥肌が立っちゃうんです。ガチでホンモノなんです。
お恥ずかしい話。
「次はどんなチョコが出てくるんだろう?」なんて年甲斐もなくワクワクしちゃいました。太陽と雨雲を掛け合わせたら虹になる!みたいなのが出てこないかな、とか(ドラクエかよ)。
思うに、余白を大切にしているんですよね。
映画に限らず、最近の作品は細部までガチガチに詰まっていて、それはそれで良いんですけど、客側が“遊ぶ”余裕がないのも事実。何でもかんでもHQ(ハイクオリティ)を優先すればいいわけじゃないです。
ちなみに仕上げたのはポール・キング監督。
って『パディントン』の監督さんだったんですね。そりゃあ、面白いのも当然の話。毒々しさすらも“やさしさ”でコーティングできちゃう御方ですからね。
なので、出演者もイギリス系ばかり。
というか、ローワン・アトキンソンとヒュー・グラントが出るだけで“ロンドンっぽく”なるのは…これも当然の話ですかね。
まあ、そんなわけで。
人間が人間たるのは“想像力”ゆえ。
つまり、本作は人間賛歌の物語であり、全力で“あなた”を肯定する物語でもあるんです。出来ることならば否定的な姿勢ではなく、チョコレートを片手に鑑賞することをオススメします。