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黄龍の村のsayaのレビュー・感想・評価

黄龍の村(2021年製作の映画)
3.8
旅行中に山奥で車がパンクしてしまった若者8人が、助けを求めて偶然たどり着いた奇妙な村で歓迎を受けるのですが、翌朝になると仲間がひとり消えていることに気づく話です。
映画のあらすじが、『悪魔のいけにえ』や『2000人の狂人』を彷彿とさせる田舎ホラー定番のフォーマットだったので、うっかりホラーと勘違いして鑑賞しました。
ホラーファンが期待するようなゴア描写は一切ないのですが、わずか66分の作品とは思えないくらい満足度の高い作品です。
前半はホラーのフォーマットを忠実に踏襲しながらも、中盤(ミッドポイント)から映画のジャンルをガラリと変える構成の巧みさが見事でした。
低予算のJホラーは、演技が棒読みだったり、感情的な芝居が過剰すぎて嘘くさくなったりと、恐怖を台無しにしてしまうことも多いのですが、この映画の演技はすごく自然でリアルでした。
若者たちのふざけ方が本当に学生の悪ノリで、いかにも大学のサークルにいそうな再現度の高さです。
男女のいちゃつきや、たわいない雑談までアドリブとしか思えないナチュラルさでした。
若者たちが8人もいるのに、説明台詞ではなく描写によってグループ内での立ち位置やキャラの違いが伝わってくるのも上手いです。
グループに全く馴染めていない人も混ざっていて、発言するたびに変な空気になってしまうのも大学サークルあるあるでリアルでした。
その微妙な空気感まで後の展開の伏線になっているのだから恐れ入りますよ。
出演者に美男美女が揃っていたのも、ホラーファンとしては嬉しかったですね。
ホラーな世界観なのに格闘アクションも本格的なのが『ゆうやみ特攻隊』みたいなノリで燃えました。
『フロム・ダスク・ティル・ドーン』や『カメラを止めるな!』のようなジャンルレスな作品が好きな人にオススメしたいです。
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