ロアー

とんびのロアーのレビュー・感想・評価

とんび(2022年製作の映画)
3.3
試写会に当選したので、ひと足先に観てきました。
重松清原作、内野聖陽&佐藤健でドラマ化もされている「とんび」です。

試写会で観ておきながら媚びない感想で申し訳ないけど、"爆泣"ってプロモーションがそもそもズレてる気がして、スッと冷めてしまった自分がいました。ホントに映画をちゃんと観てから"爆泣"で推すことにしたの?ドラえもんを観てウルウルしたくらい最近泣き虫な私が、一滴の涙も流さないまま観終わったんだけど。
"爆泣"どころか時々会場から笑いが聴こえてくるような映画で、"爆泣"が"全米が泣いた"くらいうさんくさく思えてしまいました。

でもまあ良い映画だったのは確かで、涙腺崩壊の苦しい感じではなく、不器用な親子の年代記と言ったじわじわとあったかい映画でした。
昔気質で思ったことを素直に言葉にできない父・安男。でも根はあったかくて優しい人で、だからこそ息子もなんだかんだ優しい子に育ったんだろうな。約2時間半という長めの映画ではあったものの、さまざまな親子のエピソードを追っていくにはまだまだ急ぎ足に感じたので、これはドラマでじっくり観る方がより作品を理解できるかもしれません。

ただ、そう言っておきながら私、ドラマの方も観る気があるかと言うと~・・・う~ん。というのも、良くも悪くもド昭和の世界で「さまざまな世代に刺さる映画」って冒頭のコメント映像で北村匠海が言ってたけど、バブルを知らない世代辺りからこっち、もう刺さらない内容じゃないかと思ったんですよね。
町の全員が知り合いで、秘密が漏れた次の瞬間にはご近所中が知っているような田舎の雰囲気、お祭りに命かけてそうな入れ込みっぷり、呑んで歌ってそれで何とかなる感じ、みんな大声を張り上げてオラついている五月蠅い会話・・・あの、すみません、私そういうの無理なんで。
軽くレビューを見たら評価が二極化していたので、昭和気質を良いと取るか否かで評価が分かれる映画だと思います。私も実は予告の段階から、何となくこのド昭和な感じは好きじゃないだろうと分かってたし・・・

じゃあなんで試写会に応募したのかと言うと、もちろん、阿部寛が出ているからです。これまで私が観てきた中で最も色が黒かった阿部寛。平成近くまでずっと肌着&腹巻きのスタイルを貫き通していて、寅さんかバカボンのパパって服装なのに、それでもスタイル良くてダサくなりきれなくて一体どういうことなの?最初は白かった肌着が時代を重ねるにつれ段々濃い色に変わっていったので、まさか同じ肌着をずっと着ているんじゃないよね?とハラハラしたり、昭和に阿部寛みたいにあんなに身長でっかい人いたのかな?(成人男性の平均身長160センチちょいの時代)、周りと頭一個違うんだけどそれで神輿を担ぐのは無理じゃない?とハラハラしたり、まあ、概ねハラハラしてました。因みに阿部寛が好きと言いつつ「お前も痛いだろうが殴ったこっちの拳も痛い」の究極バージョンみたいな見せ場のシーンでどん引いて、劇中最も心が冷えてしまったことはここだけの内緒です。

MEMO---
・膝を抱えてちっちゃくなっている阿部寛の姿に、え、これ本当に阿部寛?阿部寛でしかありえないけど、阿部寛がこんなに小さくなれる訳がない!と脳が混乱した。
・麻生久美子も結構好きなんだけど、ついつい良妻賢母の三日月・・・プププとなってしまってホントゴメンなさい。
・安田顕がめっちゃよかった!ナチュラルリーゼントのお坊さんというパンチの効いた肩書がかっこいい。
・アイドル時代の大島優子には特に何も思うところなかったけど、今回めっちゃ艶がある美人さんな雰囲気で初めてかわいい~こういう顔の人好き~♥ってなって、大島優子のファンの気持ちがちょっと分かった気がする。
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