あくとる

ジャスティス・リーグ:ザック・スナイダーカットのあくとるのレビュー・感想・評価

4.0
"過去を塗り替えろ"

ザック・スナイダー渾身のリベンジ。
長い!!!が、仕上がりはジョス・ウェドン版と比べて格段に良くなっている…気がする(公開時以来見直していないので記憶が曖昧)。
なので、ジョス・ウェドン版にガッカリした人にこそ観て欲しい。
きっと満足できるはず。

なんと言っても描き込み不足の解消。
まぁ、一般的な映画の倍の時間をかけているのだから、解消されるのが当然でしょうが。
そもそもこの壮大な物語を2時間に収めようというのが無理な話だったんだなと。
長いが冗長な訳ではなく、本来必要だったシーンが足されたということなので、あまり退屈はしない(ただし、エピローグに関しては少々蛇足感あり)。
240分かけたことで色々な点が府に落ち、スムーズに頭に入ってきた。
人間ドラマ的にも表面的だったのが、各ヒーローたちの抱える苦悩などがしっかりと盛り込まれたことで、十分に深いところまで到達している。
また、純粋に映像量/情報量がボリュームアップしているので満足感が高い。

DCEUに足りなかったのはやはり"積み重ね"だったようだ。
MCUは『アベンジャーズ』の前に5本の単独作を作ったことで、ロキというヴィランも含めてほとんどのキャラクターの紹介が済んだ状態で物語を始められた。
それに対し、DCEUは『ジャスティス・リーグ』の前に4本(『スーサイド・スクワッド』は関連性がほとんど無いので実質3本)あったものの、初登場の主要キャラクターが3人(アクアマン、フラッシュ、サイボーグ)もおり、あまりにも駆け足過ぎた。
その紹介が本作では補完されているので、キャラクターたちへの愛着は自ずと深まる。
よく分からなかった敵の動機も明確になり、存在感が増している。

自分が苦手な"ザック・スナイダーらしさ"、つまり「ヴィジュアルばかりに力を入れていて中身がない」が本作では気にならなかった。
MCUと比較すればシリアス気味だが、ユーモアも十分ある。
アクションシーンでスローモーションを多用し過ぎだとは思うが、カッコいいので良し。
強いて言うならチームならではの連携アクションがもう少しあれば完璧だった。

結論、ザック・スナイダーの作家性、DCの世界観にはこのくらいの長尺が合っているのではないだろうか。
『BvS』のアルティメット・エディションも観てみたくなった。
配信時代の今、こういう形で駄作扱いされた作品が救済されるのは良いことだと思う。