とりん

CUBE 一度入ったら、最後のとりんのレビュー・感想・評価

CUBE 一度入ったら、最後(2021年製作の映画)
2.6
2021年86本目(映画館27本目)

今ではかなりの数のシチュエーションスリラー映画が作られたが、その走りとも言えるスリラー界の名作CUBEの日本版リメイク作品。
これまでも似た作品は作られたし、観てはいないが続編もあったはず。しかしそのどれもが公式が認めた作品ではなく、本作は初めての公式となるリメイク作品となる。企画にもオリジナルの監督・脚本のビンチェンゾ・ナタリが参加している。
オリジナル作品も観てはいるが、10年くらい前の話なので、ほとんど話は覚えてない。今作に合わせて復習しようかとも思ったが、どう考えてもオリジナルに及ばないと予想がついたので、振り返らずに鑑賞。まぁ予想は大いにあたった。

オリジナル作品を観る前にシチュエーションスリラーの作品には触れてはいたが、それでもオリジナル作品を観た時は衝撃があったものだ。いや衝撃というより頭がおかしくなるようなサイコな感覚だ。
少なからずそこは本作でも感じることはできたが、オリジナルには遠く及ばない内容だったかなと。今になって改めてリメイクする必要性はなかったかな。

菅田将暉、杏、斎藤工、岡田将生、吉田鋼太郎など良い感じの俳優陣も揃っていて、キャラ立ちもしているし、その辺りは申し分ないかなと。ただ最初から怪しい人は怪しいし、深掘りされる前に変に予想できてしまっていたので、そこで少しがっかり。
これだけ濃いキャラたちなら、人間の醜い性的な部分を濃く描いてくれたりするかなと思ってもいたが、なんか変な方向にずっと進んでしまった感がある。大人はずるい、大人は勝手だ、大人は、大人は、大人は…ってそんな大人強調するっていうくらい途中攻めてくる。おまけに子どもが、これだからガキはとかそういう話をしてるのって問いたくなるくらい謎な問答が展開されてきた時はかなりげんなり。

最後も結局何が言いたかったのやら。僕が変わらなきゃって踏み出したのがイマイチ。オリジナル同様そもそもの謎は一切解決されない、まぁそれは仕方ないとしても、真新しさは一切感じられないどころか、ストレスさえ溜まる内容だったかな。
褒めるべきは先も言ったキャラ立ちくらいかな。日本でこう描けるというのは多少見せれたけど、もっとその部分を濃くできたのではとリメイクした意図や良さがあまり感じられない。

これがオリジナルであればもちろん設定の上で評価できるけど、もちろんこれはリメイクなので、その点は評価できるわけもなく。CUBEのリメイクとしてみたら残念極まりないし、知らない人が見たらまぁ可もなく不可もなくあまり楽しめないのではという印象。

そんな本作でも個人的に1番あかんポイントは主題歌の星野源。もちろん源さんは大好きだし、今作の書き下ろしであろう曲も良い意味で遊び心ある面白い曲ではあるけど、さすがにこの映画には合わないだろう。発表された時にわかってはいたけど、エンドロールが流れて、残念感はより強まった。

トラップ含めツッコミどころ多かったし、最後のはご都合主義すぎた。唐突な過去回想も意味がわからなかった。まぁそういうB級映画って腐るほどあるよね。
R指定だけどそこまでグロくないし、人間の醜さ的な要素もほとんどない。
オリジナル作品を観た人にオススメできないので、未見の人や出演者が好きな人なら観ても良いのではと言った感じ。
とりん

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