これはミシェル・ファイファーの独壇場なファンタジー・コメディ。ウディ・アレン的なテーマをジム・ジャームッシュ風にオフビートにこなしたと言えば伝わるか。
遺産を使い果たすまで浪費したファイファーが窮地を凌ぐために息子のルーカス・ヘッジズと猫のスモール・フランクを連れてパリに出奔する。パリでも浪費を重ねるファイファーだったが、実は息子との間に共有したある秘密を抱えていた…と言う筋書き。
金遣いは派手だが厭人的な親子のまわりに、パリで出会った様ざまな人びとが集まりだし、2人の関係性も少しずつ変わってくる。ファンタジー的側面は抑制的で人間関係を前景化させる手段に過ぎない。子どもだましにならないビタースウィートな基調が好もしい。